【甲子園】記者が挑戦 甲子園2部制のインターバル時間で甲子園歴代出場校を何校訪問できるか

兵庫・西宮市の報徳学園

<全国高校野球選手権>◇7日◇1回戦

第106回全国野球選手権大会は、猛暑対策のため史上初めて「朝夕2部制」が敷かれた。

第1試合も第2試合も観戦したい観客は約3時間半、球場の外で待機した。3時間半、きっと思い思いの過ごし方。日刊スポーツ記者もせっかくなので挑戦した。3時間半あったら、甲子園の歴代出場校を何校回れるか-。

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第1試合は点の取り合いになり、想像より試合終了が少し遅い。急がねば。甲子園球場を出て、甲子園駅前でタクシーに乗った。自腹覚悟だ。

「報徳学園までお願いします」

同じ兵庫・西宮市内を内陸へ。武庫川の流れとは逆に北上する。20分弱で報徳学園に到着した。正門前でタクシーを降りると、たまたま速足でどこかへ向かっていた野球部員が「こんにちは!」とあいさつしてくれた。同じように返す。

背ネームに「山田」と書かれていた。私は報道パスを外していたので、きっと一般来客に見えたはずなのに、彼は迷わず「こんにちは」。うれしくなる。

甲東園駅のほうへ歩く。かつてこの通学路を何百回も歩いた西武田村伊知郎投手(29)が「10分、15分くらいですかね。自分、家が遠いので学校から駅まで遠いのもけっこうこたえて…」と笑って教えてくれたことがある。もっと住宅が密集する道かと思ったら、ところどころに水の張った田んぼがあった。

線路の向こうへ。地図じゃ分からないけれど、目的地は丘の上。暑いけれど登る。野球教室から出てきた少年はオリックス帽、学習塾の資料を持つ少年は阪神帽。閑静な住宅街を進むとやがて関西学院のキャンパスが見える。高校も併設されており、金属バットの音も聞こえる。

ここからバスに乗り、JR西宮駅、三宮駅を経由し、地下鉄で板宿駅へ。西武栗山巧外野手(40)が「けっこう上の方ですよ」と言っていた育英高校へと向かう。上り坂で汗が玉のように出る。やればできるよ、できるよやれば。10分くらいで着いた。

上った分を下る。バス停のベンチに麦わら帽子のダンディが座っていた。会釈しながら通り過ぎようとすると「いや~、ほんと暑いね!」とダンディは声を張った。「暑いですね、ほんと」と返した。

第2試合の英明-健大高崎の開始時間まであと1時間20分ほど。もう1校行けそうだったので長田駅で降りて、彩星工科に寄った。村野工時代に甲子園に出場している。高速長田駅のホームで、もうこの日何本目から分からないペットボトルを買い、阪神電車直通の地下鉄に乗り込んだ。

結論。3時間半あれば甲子園歴代出場校に4校行ける-。ほぼ誰の役にも立ちそうにないトリビアが生まれた。

歩き回っておいてなんだが、そもそも「暑いから」という大人の判断で試合が行われない時間帯だ。バスを待っているだけで玉の汗は止まらないし、確かに一般人よりはおそらく心肺機能が強いとはいえ、高校野球の選手たちが2時間、3時間と動き続けられる環境ではない。

運動をしてみて、朝夕2部制は間違いなく「正解」だと感じる。健大高崎・石垣元気投手(2年)も「次もこれくらいの気温の中で投げたい」と日陰のマウンドを喜んだ。近隣の商業施設では何十人もの行列ができた飲食店もあったと聞く。観客の時間調整の選択肢が増えれば、なお全方位にメリットある施策になるだろう。

第3試合が終わった午後9時37分、この記事を書き終えた。報徳学園正門前で山田君と「こんにちは」を交わし合ったのが、ずいぶんと前のことのように感じる。【金子真仁】

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