<全国高校野球選手権:新潟産大付2-1花咲徳栄>◇9日◇1回戦◇甲子園
花咲徳栄(埼玉)・岩井福外野手(3年)の高校野球は三塁コーチャーズ・ボックスで終わった。
背番号は17。ベンチにいる岩井隆監督(54)は父だ。2017年、小5の時、内野席から花咲徳栄の全国制覇を目撃した。
「スタンドからの景色とはまた違って、グラウンドの中でしか分からないものがあって。それはまた別の景色として心の中にとどめておきます」
ばりばりのレギュラーじゃないから、いわゆる“親子ダカ”の当事者は時に苦しい。
「自分が背番号を背負うことはどうしても、チームの内外から『親が監督だから』と言われると思ったので。周りが納得するようなプレーをしようと思っていたんですが、その機会がなくて。ちょっと…悔しかったです」
練習試合で訪れた明徳義塾(高知)では、日本代表を率いていた馬淵史郎監督(68)にあいさつする機会があった。自身の父は“参謀”として日本代表のヘッドコーチを務めていた。馬淵監督に言われた。
「おまえのオヤジさんもなかなか苦しい思いをしている。息子をチームに入れて指導することは、人が見るよりも難しいことがある。ただ苦しいことを乗り越えられたら、おまえも絶対にいい景色を見られる」
多くの人に支えられ、高校野球を終えた。でもずっと“岩井先生”と呼び続けた恩師との関係はまだまだずっと。
「高校野球が終わっても、学校の先生と生徒という関係は続くので。親子っていうのは、自分がちゃんと卒業してからに」
親子ダカはこれからも。花咲徳栄硬式野球部には弟の岩井虹太郎内野手(1年)がいる。夏前は主に二塁でノックを受けていた。新チームでレギュラーを取る可能性も十分にある。
「弟は自分とは違って、野球がうまいんで。絶対にまたここに来て、自分が見た景色を弟にも。自分はファウルゾーンだったんですけど、あいつにはフェアゾーンの中で見てほしいなと思っています」
“岩井先輩”として、そのために伝えることはたくさんある。【金子真仁】