【甲子園】鶴岡東・桜井椿稀を支えた億田知輝「ピンチ楽しむしかない」出場3大会連続で初戦突破

鶴岡東対聖光学院 8回裏、ピンチに内野陣をマウンドに集める鶴岡東・億田。右は桜井(撮影・滝沢徹郎)

<全国高校野球選手権:鶴岡東2-1聖光学院>◇11日◇1回戦

春夏通じて初となる山形と福島の隣県対決は、両校持ち味を生かした接戦となったが、鶴岡東(山形)が2-1で聖光学院(福島)を退けた。

鶴岡東のエース左腕桜井椿稀投手(3年)が1失点完投と決勝2点適時打の大活躍。億田知輝捕手(3年)の好リードに、野手陣の無失策も光り、出場3大会連続での夏初戦突破を果たした。聖光学院もエース高野結羽投手(3年)が8回2失点11奪三振と力投したが、あと1歩及ばず。記録員でベンチ入りした水野裕次郎投手(3年)は、敗戦に涙が止まらなかった。

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投打の軸をナインが支えた。9回1死一、二塁の場面で、マウンドに集まる。億田は「試合が始まる前から、『ピンチを楽しむしかない』って桜井と話していた」。一打サヨナラ負けのピンチでも、マウンド上の選手たちには笑顔が見えた。桜井も最終局面を「楽しみました」。逆転へ熱気を帯びる相手ベンチとは裏腹に、野手陣は冷静だった。最後は落ち着いた打球処理で遊ゴロ併殺に仕留めた。

聖光学院とは普段から練習試合をする間柄で、新チームの対戦成績は昨秋から数えて3戦全勝。6月下旬の試合では大差で勝利していた。しかし、選手らにおごりはなかった。佐藤俊監督(53)は「遠い記憶です。一切触れてない。じゃんけんと一緒です」。相手の1球に対しての集中力の高さをよく知るからこそ、ワンプレー、ワンプレーに集中した。その結果の無失策。佐藤監督も「粘り強く守ってくれた。選手を信じていました」とたたえた。

エースは山形大会で不調だった。準々決勝の日大山形戦では13安打5失点。3四死球に2暴投と制球が定まらなかった。億田は「ボール自体が全部高くて、甘いところに行ってしまっていた」。甲子園までの期間で、一緒にビデオを見直して改善点を探るとともに、食事をしたり、野球以外の話をするなどさまざまな角度から桜井を支えた。「(今日は)マックスほどじゃなかったですけど、低めでホームベースの上で伸びるような、求めている力のストレートだった」と億田。エースの復活が勝利の鍵となった。

次戦は全国制覇の経験もある古豪・早実(西東京)と対戦する。同校最高成績の16強超えへ、次戦もチームの信条の「全員野球」で勝利をつかみに行く。【浜本神威】