【甲子園】小松大谷・西川大智「義経像」磨きでためた運が返ってきた?大阪桐蔭にマダックス達成

小松大谷対大阪桐蔭 小松大谷先発の西川大智(撮影・石井愛子)

<全国高校野球選手権:小松大谷3-0大阪桐蔭>◇14日◇2回戦

小松大谷(石川)の最速138キロ右腕、エース西川大智投手(3年)が、夏の大阪桐蔭から初の完封勝ちを決めた。

92球で5安打に封じ、今大会2人目のマダックス(100球未満の完封勝利)を達成。27個のアウトの内、フライアウトが14個と打たせて取る理想の投球で、歴史的勝利を挙げた。智弁学園(奈良)はセンバツを制した健大高崎(群馬)に1点差で勝利し、夏の甲子園30勝を飾った。健大高崎は史上8校目の春夏連覇を逃した。京都国際、西日本短大付(福岡)も16強に進出した。

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夏5度、春4度の甲子園優勝を誇る最難関を突破した。西川は「やってしまったんだなという気持ちです」と声を上ずらせた。180センチ、68キロの細身の体から、すらっと伸びる腕をしならせ、140キロに満たない直球と変化球で強力打線を打たせて取った。奪った三振はわずかに1つ。9回1死一塁、最後は遊ゴロ併殺に仕留め「球場の歓声がすごくて、鳥肌がすごかった。気持ちいいなと」。大歓声の中で、歴史に名を刻んだ。

地元・石川出身。通った安宅(あたか)中から徒歩10分の海岸線には、源義経とその忠臣弁慶の逸話で有名な「安宅の関」がある。兄頼朝に追われる状況で、義経一行と疑われながらも、通り抜けた関所だ。中学時代の海岸清掃活動では、関所跡にある義経らの銅像を磨いてきた。

逸話では忠誠心の強い弁慶が義経をつえでたたいたとされる。とっさの機転で、本人ではないと関守(関所の番人)をだました一行さながら、西川は相手打線を手玉に取った。無走者でもクイック投法を織り交ぜ、強力打線のタイミングをずらした。捕手の東野と相談し「配球のつながりを考えて、高めの真っすぐや低めの真っすぐでどうやってフライを上げさせるか」。直球の高低差に加えて、試合前半は直球とスライダー、後半は序盤1、2球しか投げていなかったチェンジアップを増やし、緩急差でも翻弄(ほんろう)。ポンポンと飛球に打ち取った。

地元で「義経像」を磨き、高校でも日頃から学校の清掃に精を出した。「ごみが落ちていたら『運や!』と言って拾って、ごみの数で競い合っている。そういう運をためた結果が、今日につながったんだと思います」。中学時代からためた運は、最高の形で返ってきた。

次戦は智弁学園(奈良)と対戦する。「次勝ったらベスト8。石川県の、小松市の皆さんに、もっと元気を与えられると思う」。甲子園初勝利、大阪桐蔭撃破、そして次は8強入りへ。まだまだ歴史を塗り替える。【浜本神威】

◆安宅の関(あたかのせき) 源義経が兄・源頼朝に謀反を疑われ、奥州平泉(岩手県)へ逃げ延びる際に通ったとされる、石川県小松市安宅町にある関所。歌舞伎十八番「勧進帳」の舞台。義経一行が変装し抜けようとしたが疑われ、忠臣弁慶の機転で関守(関所の番人)をだまして、くぐり抜けた。関所跡には義経と弁慶、義経一行に気づきながらも弁慶の行動に心を打たれ、通過を許した関守・富樫左衛門の像がある。

◆石川対大阪 石川県勢は大阪府勢に夏の大会で5戦5敗だったが、6度目の対戦で初勝利。春は石川の2勝4敗。

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