【中村順司の目】大社に伝統校の持つ力 勝った神村学園は打線に迫力 100年の重み感じる夏

神村学園対大社 アルプスの応援団にあいさつをする大社の選手たち(2024年8月19日撮影)

甲子園100年の夏、大社(島根)が旋風を巻き起こした。1回戦で優勝候補の一角、報徳学園(兵庫)に勝ったことが勢いをつけた。満員のアルプスとも一体になり、大会を盛り上げた。伝統校の持つ力を見る思いだった。

神村学園(鹿児島)との準々決勝は一球一打に大歓声が起きた。そんな雰囲気の中で勝った神村学園は、さすが。2年連続4強の実績を見ても、できあがっているチームという印象だ。

打線に迫力がある。低反発バットが導入され、各打者が筋力アップに励むも、スピードを奪っている傾向がある。手のひらでバットを握るから、ヘッドスピードが生かされない。それを裏付けたのが、甲子園に響く打球音。ヘッドがきかず、球速に押されてキャイーンという音が響いていた。いい打球ならゴンッという音をたてて飛んでいくのに。まだ低反発バットを使いこなせていない感じも受ける中、神村学園の攻撃力は安定している。

対する関東第一は準々決勝で東海大相模(神奈川)を倒した。高橋君の本塁打は見事だった。優勝候補との接戦を制したことも、力になるのではないか。

京都国際は投打のバランスが取れている。中崎君、西村君ら力のある左腕がいて、得点力も高い。センバツで負けた青森山田に夏こそ勝とうという思いも、レベルアップを促したと思う。

青森山田は、選手の大半が青森山田中時代に全国制覇を経験。さらに甲子園でも全国制覇するぞというチームの盛り上がりがある。体格に恵まれ、パワーもある。滋賀学園との投手戦はワンチャンスで勝った。甲子園で勝ち上がるときというのは、どこかで苦戦を経験してそれを克服したことがまた勢いになっていく。楽しみな好カードだ。

生誕100年を迎えた甲子園で解説をしながら、先輩たちが築かれた100年の重みをあらためて感じた。人生の中でも一番多感な16~18歳の時に、野球を通じて友情を育て、チームプレーをしながら3年間を送る。その3年間を人生に生かしてほしい。その連なりこそ、100年の歴史の中で育まれてきたものだと思う。(PL学園元監督)