<全国高校野球選手権:開会式>◇5日◇甲子園
球児たちの夏の祭典が、新たな形で始まった。暑さ対策のため、開会式は史上初の午後4時スタート。群馬・伊勢崎で国内最高記録更新となる41・8度と酷暑の日に、全49校は夕方の心地よい浜風に当たりながら甲子園のグラウンドを行進した。1試合だけ行われた開幕試合の創成館(長崎)-小松大谷(石川)は内野のナイター照明が点灯された状況で、午後5時39分からと史上最も遅い時間帯にプレーボール。2万500人が訪れた第1日。変わりゆく時代と共に高校野球は進化しながら、変わらぬ魅力に満ちた15日間にわたる熱戦の幕が開けた。
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日が傾き始めた午後4時。甲子園球場には本塁ファウルゾーンから一塁線へと伸びる大きな影ができ、地元高校生たちによる総勢200人の演奏隊をぽっかりと包み込む。従来だったら、午前の灼熱(しゃくねつ)の太陽に照らされていた選手たち。史上初となった夕方開催の開会式の恩恵だった。
演奏隊の奏でる音色に合わせ、右翼席付近に設けられた「107」の入場口から、各地区を勝ち上がった選手たちが続々と姿を見せた。昨夏優勝校の京都国際(京都)が代表校の先陣を切り、全49校が甲子園の土、青々とした芝生をかみしめながら元気よく行進。整列後にはグラウンド上で水分を補給した。
全国一帯で記録的な猛暑を記録し、甲子園では最高気温33・4度を計測。だが、幕開け時には右翼側から吹き込む浜風にも助けられた。40分間に及ぶ式典は無事に終了。昨夏準Vの関東第一(東東京)の越後駿祐主将(3年)は「去年の開会式は腕周りから汗がしたたり落ちてくるほど暑くて大変でしたが、今年は全く汗をかかずにできました」と変化を実感。健大高崎(群馬)の加藤大成主将(3年)も「選手に合わせた対応に感謝します」と全選手の思いを代弁した。
暑さ対策は年々難しさが増す。107回を数える大会も社会情勢に対応すべく変化を続ける。きめ細かな「クーリングタイム」の実施、試合前のノックの時間短縮と選択制、2部制の拡大など。選手、審判、応援団ら関係者の健康を最優先に考えた。史上最も遅い時間帯に始まった開幕戦は開始前からナイター照明が点灯し、内野席には日影が差した。気温32度と暑さも少し和らぎ、1万9000人の観衆が創成館と小松大谷の好試合を見守った。
開会式での選手宣誓で、智弁和歌山の山田希翔主将(3年)は「自然環境や社会の状況が変化していく中で、高校野球のあり方も問われています。しかし、その魅力は変わりません」。力強く言った。社会状況が変わっても、白球を追いかける球児たちも、見つめる人々の思いは変わらない。2025年、夏。深紅の優勝旗を目指した暑い、熱い、甲子園の戦いが、新たな歴史の1ページを開いた。【平山連】
▽西日本短大付・小川耕平主将(3年) 気温も低く風も吹いていて、去年よりやりやすかったです。体への影響もないと思います。
▽神村学園・今岡拓夢主将(3年) 去年も出ましたが、今年は風がよく吹いて、涼しく感じました。選手たちにとってもいい開会式。暑いのは暑いですが、去年と比べると全然違うと思います。
▽金足農・佐藤晃真主将(3年) 去年に比べて涼しかったです。秋田も暑いですが、それよりも(甲子園は)1つや2つ以上暑いです。暑さ対策というところで変わっていく中で、チームとしてもそこに対応していかなくてはいけないと思います。
▽横浜・阿部葉太主将(3年) 選手宣誓でも言っていたように、環境が変わっても、高校野球は変わらない。全ての球児がここを目指してきた。自分たちのやるべきことをやっていきたいと思います。