1回戦から強豪対決がめじろ押しだった大会で、4強にふさわしい力を備えたチームが勝ち残った。紫紺の大旗をかけた最終盤。楽しみな2試合が続く。
智弁学園は準々決勝で、強豪の花咲徳栄(埼玉)を相手にまさかの8点差をひっくり返した。圧倒的な攻撃力が、大黒柱の杉本君を支える。もともと力がある上に、勢いを得ていっそうチームが活気づいた印象。あと2勝を取るには、ここまで全3試合に登板し26イニングを投げている杉本君の回復力がカギになる。
一方の中京大中京は、好投手2人を擁する。右の安藤君、左の太田君という両輪をそろえ、3試合すべて継投で勝ってきた。迷いなく継投に入れるのも、2人に安定感があるからだろう。
大阪桐蔭は、2回戦・三重戦、準々決勝・英明(香川)戦と2戦連続で1点差の接戦をものにして4強に勝ち上がってきた。過去の大会では大差で相手を圧倒する試合が目立ったが、三重戦は延長10回タイブレーク、英明戦は終盤8回に勝ち越した。バントを封じるシフト、ノーミスの本塁好返球など、随所で鍛え上げられた守備力を発揮。さすがの底力だ。ただ英明戦で、同点の6回に救援し最後まで投げきった川本君の疲労がどこまでのものか。三重戦に先発し、5回途中で降板したエース吉岡君の復調が待たれる。
専大松戸はエースの門倉君、4番の吉岡君と、攻守の軸2人がいい活躍を続けている。門倉君は全3試合、通算22回1/3を投げて自責0(失点1)。完封→救援→完投と大車輪の働きだ。吉岡君は3試合連続安打で5割5分6厘、3打点と好調。ともに攻守の安定感をチームにもたらしている。準決勝は好ゲームになるだろう。
今大会から指名打者制が始まった。選手たちの活躍の幅が広がり、いい制度だと思う。ただ指名打者を任される立場の選手も、しっかりと守備力を鍛えながら打力を磨いていってほしい。打力を伸ばすだけでは、長く野球を続けることは厳しい。PL学園(大阪)を指導していたときから、選手たちには「どの世界に行っても30歳までは野球を続けような」と話してきた。走攻守しっかり鍛えた上で、指名打者のエキスパートになってほしい。
佐野日大(栃木)の出場で、孫(中村盛汰主将=3年)の安打も見ることができた。忘れられない春になった。(PL学園元監督)