<センバツ高校野球:大阪桐蔭7-3智弁学園>◇31日◇決勝◇甲子園
大阪桐蔭が7-3で智弁学園(奈良)を下し、22年以来4年ぶり、春夏通算10度目の優勝を決めた。西谷浩一監督(56)は「優勝と準優勝は全然違う」と決勝無敗で頂点へとけん引。勝負師でありながら、選手への深い愛情と洞察力で常勝軍団を築き上げた。敗れた智弁学園はプロ注目のエース左腕、杉本真滉投手(3年)が1週間500球の球数制限にあと3球に迫る大車輪の働きも一歩及ばなかった。
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いつもはノックバットを握る分厚く大きな手でフライパンを握った。慣れない手つきで卵焼きを作ると、丁寧にお弁当箱に詰め込んだ。22年、夫人が体調を崩し、約1カ月間、浩一パパが家事を切り盛りし、奮闘した。一番手がかかったのは当時15歳と12歳の娘さんのお弁当だった。
料理なんてやったこともない。どうやってこの苦境を乗り切るか。考えたのは“コンビニ弁当”。練習帰りにこっそりコンビニ弁当を購入。娘たちよりも早く起き、丁寧にお弁当箱に詰め、黙って持たせた。2~3日たった頃だったろうか。娘さんが声をかけた。「お父さん、分かってるで」。その視線の先には、コンビニ弁当の殻。「いつもは選手にウソはアカンって言うてるのにね」と苦笑いを浮かべた。
翌日からは料理に取り組んだ。初めて作った卵焼きは、見た目は不細工でも!?味は抜群。愛情たっぷりのお弁当に娘さんたちは「ありがとう。おいしかったで」と毎日喜んで残さず食べてくれたという。
OBたちの西谷監督評は「監督というよりも先生」「温かく見守ってくれる」「常に謙虚」。22年主将の青学大・星子天真内野手(4年)は「娘さんがいるから、僕らのことは息子だと思ってくれているのかも」と話した。だから選手たちへの愛情は深い。怒るのは私生活や取り組み、ウソをついたりごまかした時だけ。失敗にも「人間一度くらい失敗はある」と決して突き放さずチャンスを与える。「いい選手を集めている」と周囲に言われるが、実は選手の性格まで見て、大阪桐蔭での成長を願い共に甲子園優勝を目指した。
素材と味付け。そしてたっぷりの愛情。浩一パパの最高の調理で、大阪桐蔭はこれからも強くあり続ける。【保坂淑子】