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高校野球で7イニング制導入の議論が注目を集めている。そもそも高校野球で今、なぜ7イニング制導入の可否が取り沙汰されているのか-。日本高野連が設置した「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」では部員の健康対策(障害予防・熱中症対策)、教職員の働き方改革、気候変動など、高校野球を取り巻く状況に対応するために計10回にわたり議論を重ね、昨年12月に最終報告書をまとめた。7イニング制の賛成、反対にかかわらず、まずはこの報告書を3回にわたって読み解きたい。
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さかのぼること24年4月25日第1回理事会。高校野球における7イニング制を検討するため、夏の酷暑対策や健康面などの配慮を含め、医療関係者を含めた11人の有識者で話し合う「高校野球7イニング制に関するWG(=ワーキンググループ)」が設置された。これが1つの出発点だ。計4回の会合において、7イニング制のメリット・デメリット、世界情勢、イニングの歴史的経緯などの情報が整理された。以下は一部意見の抜粋だ。
「野球部員数が減少傾向にある中、加盟校間で部員数の差が顕著にあらわれており、部員不足による連合チームも増加している」「7イニング制を考察するうえで熱中症対策は重要なテーマだが、数ある課題の一つである。一方で、熱中症対策は差し迫った喫緊の課題である」
「普段の練習や公式戦開催に伴い、選手・部員・応援生徒・審判員・観客の重大事故が発生してから、あるいは国や自治体からの指示を受けてから議論をスタートするのではなく、高校野球関係者が自主自律の姿勢で議論していかなければならない」
「危機管理の面から、最悪なのは『何も対策を講じない』ということ。何もせず、大会に関わる選手、役員、審判員、応援する生徒、観客の中から重大事故が発生した場合、誰がどのような責任を負うのかを肝に銘じるべき」
WGで確認したこうした意見や課題を踏まえ、7イニング制のメリット・デメリットを「試合時間の短縮」「投球数の減少」「6アウトの減少」「試合展開、戦術の変化」「記録の非連続性」からまとめた。例えば、試合時間の短縮では「選手」「社会」「大会運営」の属性に分け、選手側のメリットには障害予防の推進と熱中症リスクの減少を挙げ、デメリットには試合を楽しむ時間の減少を挙げるなどした。
WGで考察する過程で、選手の健康対策のさらなる推進や大会における出場機会の創出などの観点から課題が浮かび上がった。7イニング制の議論と併せて「全国大会での得点差コールドゲーム」「選手権大会(地方大会、全国大会)のみ7イニング制」「全国大会を秋に開催」など15個の施策案も検討していく必要性が指摘され、このうち「指名打者制」「1週間500球投球数制限」など8つは実際に行われるに至った。
こうして、日本高野連は24年12月の理事会で、将来的な7回制の導入に向け、新たに「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」を設置すると発表した。【第2回に続く】