【高校野球】真っ赤なスタンドに憧れた偏差値68彦根東ナインが「凡事徹底、吸収早く」聖地目指す

集合写真に収まる彦根東ナインら

<進学校の球児たち:彦根東>

放課後はグラウンドで汗を流し、夜は受験勉強のため机に向かう。高校野球に打ち込む球児たちの中には、勉学との両立に挑む「進学校の球児たち」がいる。甲子園常連校とは異なる環境の中で、限られた時間をやりくりしながら白球を追う日々。その先に見据える未来とは-。

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国宝・彦根城の中堀に囲まれた滋賀県立彦根東高等学校は、偏差値68で東京大学などへの進路実績を持つ県内有数の進学校。あえてそこで野球をすることを選択し、聖地を志す球児たちがいる。それは、ある光景を見たからだ。

神谷恭伍主将(3年)は「甲子園に出た時の、赤色にスタンドを染めている彦根東に憧れている人が多い。ヤクルト増居さんを始め、甲子園で輝く彦根東と、勉強もすごいのでそこを目指している人が多い」。増居翔太投手(26)は17年夏、18年春に出場し、ともに初勝利に貢献した。

平日の練習は3~4時間。グラウンドはサッカー部、陸上部と共用で内野部分しか使用できないことが多い。その中で意識しているのは「やっぱり一番は時間の使い方。野球も勉強もしないといけないので、練習の中でどれだけ無駄を減らせるか。どれだけ量をこなせるかも大事。それと吸収はやっぱり早いので、いろんなプレーを吸収して成長できています」。

両立することはもちろん簡単ではない。今年の2月頃、練習中や自主練習への取り組みでモチベーションの差で衝突した。「野球においても勉強においてもすごく感じる。特に野球は、どれだけ一つになってできるかってすごく難しい」。グラウンドでもつい勉強の話を出してしまう選手がおり、神谷主将を中心に「最近ちょっと意識が緩んできていないか」と3年生だけで話し合いの場を設けた。そこで一人一人の話も聞き、お互いのことを尊重し合うという機会を作れたことで、個が強くても全員が同じ方向を向けている。

「凡事徹底で、キビキビしてるチーム。泥臭くても綺麗な勝ち方じゃなくても、最終的にスコアが1点上回れるようなチームに」。熱い夏へ、まずは自分の心に真っ赤な闘志を燃やす。【佐藤妙月】

◆彦根東 1876年(明9)年創立の伝統校で、今年150周年を迎える。「井伊の赤備え」に由来した校是「赤鬼魂」に象徴される挑戦心と先駆者精神を大切にし、文武両道を実践。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)、WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)の指定校としても人材育成に務める。野球部の甲子園出場をはじめ、多くの部が全国大会に出場し、新聞部や囲碁部は全国制覇も果たすなど部活動も盛ん。OBにヤクルト増居翔太らがいる。所在地は滋賀県彦根市金亀町4の7。大久保貴生校長。