沖縄尚学・末吉良丞、最後の夏エースとして気合入った矢先に左肘ケガ…背中を押した両親の言葉

沖縄尚学、ダブルエースの末吉良丞(左)と新垣有絃

昨夏、全国制覇を果たした沖縄尚学。センバツの初戦敗退に、昨年の2年生エース、末吉良丞投手(3年)を左肘のケガで欠く中、春の九州大会は準優勝と着実に力をつけている。比嘉公也監督(45)は「山川(主将)1人で旗を返しに行かせるな。全員で返しに行こう」とげきを飛ばす。夏の沖縄を連覇しての4季連続甲子園出場へ。その現在地を追った。

   ◇   ◇   ◇

6月16日。沖縄尚学のブルペンには末吉の姿があった。ゆっくりと足を上げ、体の動きを確認しながら丁寧に投げ込んだ。捕手を立たせて40球。「タイミングはまだ合ってないんですけど思った以上によかった。それが一番の収穫かな。抑え込みが効いて、高めも強く投げられましたね」。4月8日以来のブルペンに「やっぱ投げるのは、楽しいです」と、自然と笑みがこぼれた。投球を受けた仲松歩夢捕手(1年)は「立ち投げでもドッシリくる感じでした」と話し、左ひじのケガ明けでも力は健在だ。熱戦が始まった県大会での復帰登板を目指している。

センバツでは夏春連覇を期待されながらも帝京(東京)相手に初戦敗退。開幕戦で“短い春”を経験した。それでも4月3日からはU18日本代表候補選手強化合宿に参加。順調にアピールしていたが、沖縄に戻って3日後の練習中、左ひじ痛を発症した。最後の夏へエースとして、今秋のドラフト候補として、気合が入っていた矢先のアクシデントだった 「ちょっとまずいな…」。不安で胸がいっぱいになった。そんな末吉の背中を押したのは両親の言葉だった。「今、頑張る時期じゃないよ。まだ先があるから」。今夏、エース番号を逃し、背番号10を手にした時も「無理させないでくれた比嘉監督に感謝しないとね」。いつも前向きにさせてくれる両親の言葉。末吉は「甲子園に出場までには間に合う、と考えるようになりました」と明かす。焦らずリハビリに専念。視線は夏に向けられた。「背番号1番は(新垣に)譲った気はない。甲子園に出場できたら取り返します。そのためにも全員で甲子園に戻る。チームのために今、できることをやる」。強気な顔も戻った。

チームのために。大嫌いな走り込みとも向き合った。リハビリやトレーニング。「投げられなければバッティングで貢献する」と打撃練習にも参加。23日の今夏初戦、沖縄水産戦はDHで出場した。「当たれば飛びますよ(笑い)」。恵まれた体格から繰り出す強打に自信を見せた。「どんな形でも立ち止まってはいません」。前へと突き進む。

イメージはできている。「1戦1戦戦って、県大会優勝。甲子園では背番号1をつけて、堂々と行進をしている。もし投げられたら“勝てるピッチャー”を目指したい。無失点が目標です」。2年連続、熱くて長い夏にする。【保坂淑子】

◆末吉良丞(すえよし・りょうすけ)2008年(平20)11月18日生まれ、沖縄県浦添市出身。仲西小2年時に仲西ビクトリーBBCで野球を始め、仲西中では最速145キロを記録。沖縄尚学では1年夏の県大会からベンチ入り。同年秋の県大会で背番号1。昨夏甲子園で優勝投手に輝く。最速150キロで高校日本代表にも選出されU18W杯でも活躍。175センチ、91キロ。左投げ左打ち。

◆新垣有絃(あらがき・ゆいと)2009年(平21)1月21日生まれ、沖縄県八重瀬町出身。東風平(こちんだ)小1から世名城ジャイアンツで野球を始める。八重瀬中では軟式で22年に全国大会3位に。沖縄尚学では1年秋からベンチ入り。2年夏は背番号10ながら4試合に登板し優勝に貢献。目標とする選手はヤクルト奥川、好きな言葉は大胆細心。175センチ、69キロ。右投げ右打ち。

○…沖縄尚学の比嘉公也監督(45)は「山川1人で(優勝)旗を返しに行かせるな。全員で返しに行こう!」とげきを飛ばす。主将の山川大雅捕手(3年)はセンバツ初戦敗退後、仲間に「ここで諦めたら崩れるだけ。夏もう1度、強さを取り戻すために1からやり直そう」と呼びかけた。終盤で勝ちきれない甘さを課題に守備や走塁を強化。少しのミスを許さない緊張感で練習に取り組んだ。「連覇への思いはまだない。まずは沖縄県大会を勝ち抜くことを一番に考えています」。全員で甲子園に戻るために1戦ずつ勝ち進む。