<高校野球富山大会:高岡第一7-0富山北部>◇18日◇3回戦◇高岡西部総合公園野球場
“富山の怪物”が快挙を成し遂げた。高岡第一の最速156キロ左腕、前田侑大(ゆうと)投手(3年)が富山大会では15年ぶりとなるノーヒットノーランを達成した。この日の最速155キロを計測した自慢の直球で押し込み、9回149球を投げ、毎回の20奪三振と圧倒的な内容を見せた。バックネット裏にはNPB8球団が集結した。チームは本格サウスポーとともに45年ぶりの夏の聖地を目指す。
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156キロの衝撃から1週間。高岡第一のプロ注目左腕前田が今度はノーヒットノーランを達成した。2回戦・富山工戦からの自己最速更新とはならなかったが、立ち上がりからこの日の最速155キロをマークした自慢の直球で打者を押し込んだ。
二つの死球と味方の失策が絡み8回2死満塁のピンチを迎えても「もう一段階ギアを上げて、まずはゼロで抑えるという思いでした」と気持ちは揺るがない。富山北部4番・加藤雅也外野手(3年)との勝負では最後まで直球を選び、空振り三振に仕留めた。
制球が乱れ9四死球を数えたが、1回2死から6者連続三振など9回149球を投げて毎回の20奪三振。「自分のストレートは三振を取りにいく球。当てられないという気持ちで投げていました」と圧巻の内容を見せた。
視察に訪れたNPB8球団のスカウトも熱視線を送る中、楽天・小孫スカウトは「高校生で150キロという速さを投げる投手はなかなかいない」と高く評価。ベンチから見守った村本忠秀監督(61)は「これくらいやってもらわないと」と目を細めた。
2試合連続の圧倒的な投球を支える土台は、日々の積み重ねにある。「自分の中では柔軟性が一番だと思っています」。特別なトレーニングよりも毎日のストレッチを欠かさず続け、173センチの体からしなりを生かしたフォームで剛速球を生み出す。全国から注目を集める存在となったが「変化球のストライク率はまだ課題。次の試合ではもっと意識したい」と貪欲(どんよく)な姿は変わらない。
横浜(神奈川)・織田翔希投手や山梨学院・菰田陽生投手(ともに3年)ら同世代の本格派をしのぐ最速156キロ、そしてノーヒットノーランと結果を残しても満足はしない。45年ぶりの夏の甲子園へあと3勝。チームのために腕を振り続ける。【栗林真菜】
◆前田侑大(まえだ・ゆうと)2009年(平21)1月23日生まれ、富山県高岡市出身。ビッグファイトボーイズ-南星中軟式野球部を経て、高岡第一では1年時からベンチ入り、2年秋からエース。今春のU18日本代表候補の強化合宿に参加。目標の選手はソフトバンク前田悠伍。家族は父孝一さん、母ゆかりさん、姉、兄、妹。好きな食べ物はゆかりさん特製のミートソースパスタ。173センチ、72キロ。左投げ左打ち。
○…今夏の注目選手となったサウスポーは、いかにして最速156キロの本格派へと成長したのか。中学時代に前田を指導した富山・南星中野球部顧問兼監督の木之村駿教諭(26=日本海L富山ユースコーチ)は「投げることが本当に大好きな選手でした」と振り返る。
木之村教諭が同校へ赴任したのは、前田が中学2年の頃だ。当時のチームは「3年間で1回も勝ったことがない」という実力でありながら、1年生から投げる前田の球筋に非凡さを感じた。前田が中2の冬に投球の回転数や回転軸を数値化できるデジタル機器「ラプソード」で計測した。球速は約120キロとまだまだ伸びしろ十分だったが「少しジャイロ気味で質のいいボールを投げていました」と当時から高い素質を感じたと振り返る。
その才能を高岡第一で開花させ、甲子園を狙うエースへと成長した。「無名だった頃を知っている子です。おごらず、多くの人に愛される選手になってほしい」とエールを送った。
夏の地方大会で多くの三振を奪ってノーヒットノーランを記録した主な投手
◆12年登藤結実(秋田工=3年) 1回戦の雄勝戦で19奪三振。7回から6者連続三振するも、8回にコールド試合が成立して参考記録に。103球を投げて四球は1つだけ。
◆13年今野龍太(岩出山=3年) 2回戦の米谷工戦で達成。140キロ超えの直球を武器に、5回まで11奪三振。四死球と失策で8人の走者を出すも、16奪三振の力投で安打を許さず。
◆14年藤井聖(富士市立=3年) 1回戦の藤枝東戦で達成。スライダーとカーブを使い分け、5者連続を含む18奪三振。許した走者は3四球と味方の失策1人のみ。
◆19年佐々木朗希(大船渡=3年) 3回戦の一戸戦。参考記録ながら6回1四球のみで達成。先頭から4者連続空振り三振を奪い、155キロを2度計測。打者19人から13三振を記録した。
◆21年山崎琢磨(石見智翠館=3年) 決勝の大社戦で達成。2回までに5者連続三振を奪うなど、9回を投げて15奪三振。夏の島根県大会では初のノーヒットノーランを達成した。