<高校野球東東京大会:二松学舎大付10-3岩倉(8回コールド)>◇19日◇5回戦◇大田スタジアム
昨夏準優勝の岩倉が、ライバル二松学舎大付に予想外のコールド負けを喫した。攻守の要の河村柊希捕手(3年)は「楽しかったなっていう気持ちが一番です」と、目を真っ赤にしながら笑顔をつくった。
試合は思わぬ展開から始まった。「先頭バッターへのアプローチが甘くなった」。いきなり死球を与えると、初回に8安打で大量8失点。1球の怖さを誰よりも知る捕手だからこそ「もっとマウンドに行って声をかけたり、自分が引っ張っていければ良かった」と悔やんだ。それでも、大差をつけられた5回2死二塁。「豊田監督からいつも言われているセンター前だけを心掛けた」と、三塁強襲の当たり(記録は三失)で1点を返した。
昨夏の帝京戦では「2本塁打&強気な内角攻め」で勝利に貢献した。そんな男が最高学年となり、技術以上に磨いてきたのが「コミュニケーション力」だった。普段は人とあまり話さないタイプと言うが、1年秋にストレスから退寮したことを機に、自己啓発本を読むなど、人間関係を研究し、新チームを引っ張ってきた。
河村の野球人生は、生まれた時から女手ひとつで育ててくれた母芙貴子さん(47)の深い愛と、幼い頃にノックをしてくれた祖父の優しい支えがあった。「退寮した時も温かく受け入れてくれた。毎日お弁当を持たせてくれた。もっと恩返ししたかった」と涙があふれた。卒業後は桜美林大へ進学予定。「おじいちゃんに、もうちょっと自分の野球を見せたい」と、その先にあるプロの舞台も見据えた。【鳥谷越直子】