<アマ野球特集>
夏の高校野球地方大会は、終盤戦に入った。連日各地で代表校が決まる中で、担当記者たちが精力的な取材を行っている。アマチュア野球特集では、大会中に書ききれなかった話を紹介。取材した記者が印象に残ったエピソードとは-。
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和歌山南陵の主将で佐藤尋斗投手(3年)は悔し涙を浮かべながら、スタンドへ深々と頭を下げた。
「応援してもらっていることを感じていたんですが。(5回コールド負けで)悔しい結果になってしまいました」
全校生徒で唯一の3年生だった。昨年4月に県外から転入。24年夏にレゲエ調の校歌が注目され、少数で奮闘するナインの姿に引かれた。ただ、同校は4年前に深刻な経営難に陥り、新規生徒の募集を一時停止。その影響で野球部にはもちろん、クラスメートと呼ばれる同級生もいない。教師とは常に“ワンツーマン授業”。ここまでを振り返って「いろいろな経験をさせてもらった。すごく幸せな時間でした」とかみしめた。
最後の夏に意地を見せた。右ひじ痛を抱え、ブロック注射2本を打ち込み、座薬を入れて「3番捕手」で強行出場。3回途中からは救援登板し、1回2/3を投げ5安打4失点、計3四死球だった。最速140キロ台を誇る右腕も、好調時の面影はなかったが「悔いはない。最後まで諦めない姿は見せられた」。痛みをこらえ、気迫の49球だった。
すでに昨年から新入生の受け入れを再開し、今年は10人以上の1年生が入部。新チームには約20人以上が残る。「1年後、2年後、ここに戻って勝ち上がってほしいです」。後輩らが快進撃を見せてくれることを信じ、エールを送った。