<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇3日◇甲子園
創部初の甲子園出場となった八王子実践(西東京)が甲子園練習を行った。バレーボールの強豪校。今年の春高バレーには女子が11年連続出場する好成績を収めている。
「1番遊撃」の近藤秀人内野手(3年)は困難な練習環境に屈さず、特別な2人の前で同校初勝利に貢献する。
「できる練習は限られています」と背番号6。報道関係者向けのアンケートに目を通せば、野球部の練習環境の困難さは一目瞭然だ。専用グラウンド、室内練習場、合宿所は「なし」に○、ナイター設備、専用バスは「ある」に○が記されていた。
練習拠点は校庭の「ダイヤモンドの内野くらい」の広さ。そして雨が“天敵”だ。室内練習場がなく、世間一般の「体育館」は同校にとってはバレー部の練習拠点。選択肢に入らない。降雨時は「廊下でゴロを転がす、基礎練習」を積み上げた。「バレー部には寮があり、全国から選手が集まります」。新しい体育館を建設中といい、高校3年生ながら「バレー部は投資されていますね」と現実に目を向ける。
そのチームを快活に率いるのは「いい顔して野球をする」が合言葉の河本ロバート監督(40)。日本、米国、台湾、オーストラリア、コロンビアでプレーしたバイタリティーあふれる指揮官だが、08~11年のドジャース傘下時にイップスを発症。「何をやっても、ネガティブになった。うまくいかず、負のエネルギーが出る。やはり、生き生きとした人を見ると内容も結果も良くなる。周囲に人が集まりますよね」。
「ロバートさんを勝たせられたら」と近藤。「武器は打撃。ロバートさんからは『(自分が)塁に出たら勢いづいて、得点の確率が上がる』。まずは塁に出ます」。
初戦となる第5日・9日午後4時開始予定の鳴門渦潮戦には、同校女子バレーボール部OGの彼女が観戦予定。困難な状況下で野球に打ち込む近藤の理解者だ。「(出場には)喜んでくれています(笑い)。来てくれるらしいので」。
同校の甲子園初打席の打者となる予定の近藤。創立100周年の今夏、野球部の一員として「いい顔」で学校の歴史と青春を鮮やかに彩る。