【甲子園】「ビデオ検証」が導入 検証の対象、円滑な進行のための仕組みは?プロとの違いQ&A

開会式のリハーサルで行進する選手ら(撮影・上山淳一)

いよいよ5日に開幕する第108回全国高校野球選手権大会(甲子園)から、ビデオ検証の導入がされる。今回のアマチュア野球特集面では、高校野球の全国大会では初の取り組み「ビデオ検証」を掘り下げる。プロ野球だけではなく、既に社会人、大学野球でも導入済みの制度との違い織り交ぜなから紹介する。【平山連】

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-ついに高校野球でもビデオ検証が導入。プロ野球などでも採用されているが、違いはどこにあるのか。

監督が直接ベンチから飛び出して求めるのではなく、高校野球ではプレーが一段落したあとに各チームが速やかに「伝令」をグラウンドに送り球審に申し出る運用を敷いている。高校野球らしさに加え、試合の円滑な進行を両立させるための仕組みとなっている。

-どんなプレーが検証の対象になるか

<1>ホームランまたはエンタイトルツーベースの可能性がある打球

<2>フォースプレー

<3>タッグプレー

<4>キャッチまたはノーキャッチ※【1】外野手によるプレー(フェアかファウルかは問わない)【2】内野手が外野方向へ背走し、外野で行ったプレー(内野手より前方のファウル地域で行ったプレー)

<5>フェアまたはファウル・一塁塁審、または三塁塁審の位置より外野側に落ちた打球の判定 ※打者が打ったり、バントした打球が塁審の前で落ちてフェアと判定された場合、その打球が打者、または打者の所持するバットに当たったかどうかについては例外としてビデオ検証の対象とする。

<6>走者に関するプレー※【1】追い越し【2】塁の空過【3】タッグアップにおけるリタッチ

<7>ヒットバイピッチ(死球)※ビデオ検証の際にハーフスイングが絡んでいる場合は、球審はビデオ検証の前に塁審にスイングか否かを通常のシグナルで確認する。スイングの判定の場合、ボールが打者に触れたときにストライクゾーンにあったかどうか、打者がボールに触れるのを回避しようとしたかどうかについてはビデオ検証の対象としない。

<8>スイング ※打者が打った(バントを含む)が、投球がバットに触れずに打者の身体または着衣に触れたかどうかについては、例外としてビデオ検証の対象とする。

<9>アマチュア内規、危険防止ルールに関するプレー※【1】衝突プレー【2】正しい塁へのスライディング

-対象外のプレーは

投球のストライク・ボールの判定やボーク、故意落球の判定などは対象となっていない。

-検証までの流れは

伝令を受けた球審が他の審判員を集めて該当のプレーを伝え、ビデオ検証の対象かをチェックする。対象だった場合は、球審はビデオ検証を実施することを「帽子・ヘルメットの上部を片手で触れる」ジェスチャーで伝えてもよく、複数のプレーがある場合は指さしでポイントを示す。両チームから同時に一連のプレーで検証を求められた場合は、判定の順番に沿って検証が実施される。検証を開始してから2分以内に確証が得られない場合や検証する映像を持ち得なかった場合は、判定通りとする。

-誰が検証するの

ビデオ検証担当(審判幹事)と控え審判2人の計3人が、ビデオ検証のモニターを使用して行う。場内アナウンスとともに、スコアボードでも「ビデオ検証」と知らせがある。球審はビデオ検証の結果を場内へ放送したり、必要に応じて打者走者や走者の進塁・帰塁・アウトカウントなど試合再開の状況も含めて場内へ放送したりする。

-回数は

9イニングで両チーム1回、判定が変わった場合はさらに1回要求できる。延長に入った場合は9回までの回数にかかわらず、1回要求することができる。

-今回の導入の意義は

デジタルテクノロジーの進歩を生かして「選手たちにより正しい判定を返していく」ことが大きな意義で、審判が下す判定の精度が高まっていくことが期待できる。

-審判側へのメリットは

審判員たちをSNS上の誹謗(ひぼう)中傷から守る意味でも歓迎される動きだ。注目度が高い甲子園の試合では、一つの微妙な判定がSNS上で大きな議論を呼び、審判への心ない言葉を浴びせる匿名の投稿者も少なくない。リプレー映像の活用により納得感のある判定が出れば、無用な中傷は避けられる可能性が高まる。

【ビデオ検証に関する各校の監督の受け止め】

▽健大高崎(群馬)の青柳博文監督(54)「選手たちが本当に重要な局面で確認し、納得した上で対応できる。そういう意味では悔いが残らないシステムになるのでは」

▽花咲徳栄(埼玉)の岩井隆監督(56)「生徒が自発的に自分の意思を発表できる機会。ぜひ使ってみたい」

▽明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督(70)「アウト、セーフかは選手が一番分かるんですよ。僕はいいことじゃないかと思います」

▽東筑(福岡)の山下聖士監督(45)「選手が自信を持って『おかしいな』という時には、知らせてもらえれば、ビデオ検証というのは使わせていただこうかなと考えております」

▽横浜(神奈川)の村田浩明監督(40)「審判さんがジャッジされているので。あんまり使うぞとか、そういう気分は全くありません。もし選手がどうしてもというような場面が、そういうことがあった時には、使えたら使うのもありなのかなと思っている。使えるという感覚はないですね」

▽三重の沖田展男監督(48)「なるべく最初のジャッジを尊重して、よう使わんと思います。誰が最初に使うか楽しみですね」

▽新田(愛媛)の岡田茂雄監督(50)「慣れてないですからね。そのへんはもう審判さんのジャッジに任せて、今まで通りに野球をしていったらいいかなと。生身の人間がやることなので、いろんなことも含めて、それが高校野球だと思っているので」