【甲子園】有明、劇的逆転星で熊本に勇気届けた「自分がしっかり決めてやる」永田晴輝5打点躍動

有明対立命館宇治 9回表有明2死満塁、走者一掃3点適時二塁打を放つ永田晴輝(撮影・野上伸悟)

<全国高校野球選手権:有明6-3立命館宇治>◇7日◇1回戦◇甲子園

地震の爪痕が残る故郷へミラクル白星を届けた。創部30年目で初の甲子園出場を果たした有明(熊本)は、2点を追う9回に一挙4点を奪い、6-3で立命館宇治(京都)に逆転勝ちした。7回には盗塁の判定をめぐり今大会初のビデオ検証が行われ、二塁でアウトになった走者・永田晴輝内野手(3年)が、9回2死満塁から走者一掃の中前適時二塁打を放ち、試合をひっくり返した。最後まであきめない姿は、被災地・熊本へ大きな勇気と感動を与えた。

   ◇   ◇   ◇

最終回にドラマが待っていた。2-3と1点を追う9回表2死満塁。7回に適時打を放っていた1番永田は「自分がしっかり決めてやる」と燃えていた。1ストライクから高めの直球を振り抜くと打球は中堅手の左を抜けた。ベンチから沸き起こった「永田に回せ!」の声に応える起死回生の3点適時打。一気に試合をひっくり返した。

高見一茂監督(46)は「うちの1番良いバッターなので。あの場面で打てなかったらもう仕方ないなって僕自身も、多分生徒たちもそう思ってた。だから結局永田が打てばうちが勝てる」と絶大な信頼を寄せる1番打者がこの試合2安打5打点。見事にチームを勝利に導いた。

7回に出塁した際には、次打者の2球目で熊本大会6盗塁の俊足をいかし盗塁も試みた。際どいタイミングとなり判定はアウト。これに「微妙だったんですけど、自分的にはセーフだと思ったので」と今大会導入されたリプレー検証を要求し、大会初の実施となった。「第1号」で注目されたが、最後にはヒーローでさらに注目されることになった。

7月28日に発生した地震で被災し、酷暑のなか、不安を抱えながら日々を過ごす熊本県民。その状況の中でも、有明ナインの宿舎には地元から段ボールに入った飲み物やたくさんのメッセージが届く。高見監督は「この場所で、小さい力だけど一生懸命やることが多くの人たちの力になるんじゃないかと臨んだ大会。勝ってまた試合ができることに感謝しながら、少しでも上にいけたら」と力を込める。

この日も有明高校ではパブリックビューイングが行われた。被災地で懸命に過ごす人々がナインの戦いを見つめている。永田は「ここから波に乗って2勝、3勝と熊本県に勇気を与えたい」。チーム目標のベスト8も見据え、まだまだ勇気と希望を与えるべく聖地で躍動する。【佐藤妙月】

◆震災被災地の甲子園代表 95年センバツでは、同年1月の阪神・淡路大震災で被害を受けた兵庫県から神港学園、育英、報徳学園の3校を選出。いずれも初戦を突破し、神港学園は8強入りした。16年夏、鍛治舎巧監督が率いた秀岳館(熊本)は4月の熊本地震発生後に実戦不足となり、九鬼隆平主将ら20人は一時、八代市内の避難所で清掃ボランティア活動を行った。深夜0時過ぎまでの猛練習などで追い込み、熊本大会で優勝。甲子園では4強入りした。

【結果詳細 有明6-3立命館宇治】はこちら>>