<全国高校野球選手権:横浜7-2沖縄尚学>◇10日◇1回戦◇甲子園
織田君は、おそらく本調子とはほど遠かったのではないか。それでも、9回途中まで投げて、12奪三振はすごい。沖縄尚学は真っすぐ狙いのバッティングに感じたが、その真っすぐが抜けてシュート回転していた。織田君からすれば何とか制球しようと苦心していることがうかがえた。
その中で3回から変化球主体のピッチングに変えた。沖縄尚学にとっては真っすぐ狙いは結果として裏をかかれた格好となり、織田君からすれば悪いなりに試合を作った、そういう流れに映った。12奪三振のうち空振りは9つ。うちスライダーで4、真っすぐで3、フォークで2。見逃し三振は3つ。うち真っすぐが2、スライダーが1という内訳だった。
7回裏のピッチングの前に、投球練習の5球目を投げ終わった後で、左足を前に出し、体重をしっかり乗せる確認をしていたのがとても印象に残った。試合がはじまり、終盤に向けてどこを気にすべきか、冷静に探ろうという意識の表れで、こうしたところにもポテンシャルの高さを見た。
7回裏のピッチングで二つ三振を奪っているが、その3アウト目の三振は右打者の仲村君から。勝負球のアウトコース低めの真っすぐは、私が見たこの日の真っすぐで一番いいボールだった。逆に言えば、そのほかの真っすぐは、特に右打者に対しては内角に抜けていた。シュート回転を制御できず、変化球に切り替えたのが功を奏した。
4回から真っすぐを投げる時に少し力を抜き、138キロ前後で投げるなど、いろいろ試しながらのピッチングだった。本格派右腕として、大きな期待を集める中、こうした苦心のピッチングで結果を出せることは、大きなポジティブ材料と言えるだろう。
いずれは、もっと体を鍛えて大きくし、しっかり下半身で粘り、下からのパワーを上半身に伝えるようになれば、さらに球威も増す。非常に有望な投手であることは疑いようがない。(日刊スポーツ評論家)