天理(奈良)が90年優勝以来36年ぶりの決勝進出をかけて準決勝に臨む。
実は初戦となった2回戦から準々決勝まで3試合すべて先攻で勝ち進んできた。先攻・後攻を決めるのはじゃんけん。試合前の“勝負”だ。サヨナラ負けのリスク、相手の出方や試合展開に合わせて動けるといった理由から後攻を好むチームも多く感じられ、プロ野球でもホーム側が後攻。あえて先攻を取っているのか、偶然か。
藤原忠理監督(61)には奈良大会の予選でなにかを感じるきっかけがあった。「チーム状態を予選からずっと見ていて、最初後攻から始まったのかな? あるとき先攻になったときに『あ、何か入り方がスムーズだな』という印象がまずあった」。奈良大会初戦となった2回戦、そして3回戦は後攻。準々決勝で先攻となると、奈良商工に13-1と5回コールドで大勝。決勝でも先攻で奈良大付に8-0の完封勝利を挙げて甲子園出場を決めていた。
試合を重ねていくたびに「あ、何か先攻の方が合ってるな」と感じた。ただ、先攻じゃなければダメというプレッシャーを選手たちにかけてもいけない。「ボソッと、本当にボソッと」と前置きした上で、主将・金本相有内野手(3年)に「なんか君たちは先攻が合ってるよね」とつぶやいた。すると、当初はずっと後攻を狙いにいっていたという金本も「(奈良大会)夏の決勝でも先攻で良い流れで勝たせてもらったし、先攻がいま自分たちのチームに合っているのかな」。今大会ではじゃんけんに勝って選択権がある状態でも、自らの判断で先攻を取るようにしている。
藤原監督はそれに対して「それでいい」とも一切言わない。あくまで選手たちの受け取り方次第。「やっぱり選手が主体なので。受け取り方が今のところ私とマッチングしている。その辺が心の戦いという形の中では、案外会話の中でも心がだんだんと通じてきているのかな」と語った。
準決勝でもあえての先攻を選択できるか。試合前の勝負にも注目だ。