<全国高校野球選手権:智弁和歌山7-1横浜>◇20日◇準決勝◇甲子園
28年ぶりの夏制覇を目指す横浜(神奈川)が優勝した25年センバツ決勝で対戦した智弁和歌山に2ケタ安打を許し、準決勝で姿を消した。
横浜・織田翔希投手(3年)は涙を拭いながら、必死に笑顔をつくった。泣き崩れる主将の小野舜友内野手(3年)、脇山魁音捕手(2年)、小林鉄三郎投手(2年)の肩を抱き「ありがとう」と声をかけた。「自分が落ちてはダメ。今までチームに助けられたから」。気丈に声をかけ続けた。
今大会、5試合目のマウンドに立った。変化球で緩急をつけ、この日の最速154キロ。3回、先頭から3連打を浴び、高めに入った152キロの真っすぐを被弾。「切り替えることができず、その流れのまま打たれた」。2回1/3を投げ8安打4失点。中1日での4連投も「疲れはない。自分の気持ちの問題」と言い訳にはしなかった。
覚悟を決めて挑んだ1年間だった。昨年、新チームが始まった頃から、野球日誌とは別に、お小遣いで手帳を購入し日記を書き始めた。「もう1年しかない。感じたことを6~7行。今日書いたものがいつか自分にとって財産になるかもしれないと思って」。今年、センバツ出場が決まった1月30日には「もうやるしかない」と、全国の舞台への覚悟を記した。その日記の表紙にはマジックで大きく「日本一」を書いた。
果たせなかった「日本一」。17日に元監督の渡辺元智さんが他界。織田は「たくさん教えていただき、それはすごく幸せな時間でした。勝って恩返しすることが一番だと思っていたんですが。これからもっと成長した姿を見せられるように頑張りたい」と前を向いた。村田浩明監督(40)もまた「渡辺監督さんがまだ甘いと言ってくれているような気がして。これからは使命と責任を持って頑張っていきたい」と話した。夏の全国制覇の目標は来年へ。聖地に誓い、再び前へ進む。【保坂淑子】