第108回全国高校野球選手権大会で5年ぶり4度目の優勝を果たした智弁和歌山。決勝のアルプスには多くのOBも応援に駆けつけた。その中には、前回21年V戦士の姿もあった。
現在は日体大で学生コーチをしている永田七成さん(4年)。21年夏の甲子園では2年で、背番号13の捕手としてベンチ入り。準々決勝の石見智翠館戦では代打で出場。日本一を経験した。
実は5月後半から6月初旬にかけて3週間、母校へ教育実習に行っていた永田さん。その間、野球部の寮に泊まり込み、ナインらと生活をともにした。その後輩たちが決勝の大舞台に立っているのをみて「3週間ですけどグラウンドで一緒に練習した子たち。改めてこういう舞台で活躍しているのを見てやっぱりすごいな」とうれしそうに見つめた。敦賀気比との3回戦に続いて現地で応援。決勝は、自身の部活動も忙しい中、夜行バスでやってきた。
同じ捕手として、山田凜虎捕手(3年)の活躍は誇らしい。「本当に周りを見てチームを引っ張る代表的な選手。ピッチャー陣としてもやっぱり心強いと思います」。実際に、教育実習でいろんな投手と話したが、口をそろえて「信頼できるキャッチャー」だと言っていたという。「もう素晴らしい選手だなと思います」。
そんな山田とも教育実習中はよく一緒にご飯を食べたり、お風呂に入りながらコミュニケーションを取った。後日、永田さんが帰省してグラウンドへあいさつに行く際も、配球の面で質問を受けるなど「答えられる範囲なんですけど」とやり取りをしていた。山田について「本当にストイック。真面目に野球に対して本当に一直線に向き合ってる選手」とSNSやゲームを一切しないという本人談のままだと語った。
捕手だった永田さんが智弁和歌山を選んだ理由はやはり中谷仁監督(47)だった。「プロを経験して高校時代も日本一を経験している中谷監督のもとでやっぱり学びたい」。縁があって入れたのでよかったと話した。
捕手とは、野球とは、をたくさん学んだ。中谷監督の指導で1番印象に残っているのは「気付く力や周りを見る力」。捕手として、野球人として一番大切なことを教わり「ピッチャーへの気配りとかは人一倍気をつけてやるようには心がけていました」と振り返った。
寮生活での中谷監督の振る舞いも、以前から変わらない。「千保子先生が朝早くからご飯作ってくださったり、監督が手伝いに来てくださったり。夜もおなか空いた時は監督がチャーハン作ってくれたり、夜食をみんなに振る舞ってくれたり」と当時の様子を明かした。「グラウンドだけじゃなくて私生活の部分で厳しい部分もあったんですけど、やっぱり一番は選手のためって気持ちが本当に大きいなって。その時は当たり前だと感じたんですけど、大学の寮で過ごして、高校時代の寮のありがたみは改めて本当に感じることができました」と時を経て感謝が大きくなった。
監督としてではなく、人間「中谷仁」は「とことん細かいところに気づく」。選手のちょっとした表情や気持ちの変化があった際の声かけも、その時その時によって全く違った。「本当に一番選手のこと良く見て周りを見られる素晴らしい人」と2年半みっちりともに過ごしたからこそわかる人間性を語った。
来年4月からは一般企業に就職する。教育実習中に中谷監督とも会話をし「これからの就職先の話もさせてもらったんですけど。野球のことについて寮のミーティングの中でも、今聞いてもためになるようなことを言ってくださったので、もう一度初心に戻ったというか。自分自身頑張っていかないといけないなと思うことが多々ありました」と卒業から4年たったいまでも学ぶことばかりだった。
決勝で8回に逆転された際には「でも大丈夫です。接戦に強いので」と口にしていた永田さん。さすがはOB。見事にその裏再逆転。「色々大変な経験やしんどい経験、選抜に出られなかったりしたと思うんですけど、やっぱり最後笑って終われるように。思い切って楽しんで、思う存分暴れてほしい」と後輩たちにメッセージを送っていたが、その通り最高の結末となった。