米国ロサンゼルスの6日、午後11時ごろのことだった。地元テレビのニュース速報に耳を疑った。「エンゼルスでプレーしたルイス・バルブエナが交通事故死」。本当なのか。すぐにインターネット上で関連する記事を確認。複数の米メディアがツイッターなどで同選手の事故死を伝えていた。路上の岩に車がぶつかり、命を落としたという。ロサンゼルス・タイムズによれば、故意に岩を投じた窃盗団による強盗事件とされ、バルブエナは車から投げ出されて犠牲となった。

底抜けに明るい選手だった。第一報のニュース後、エ軍のティム広報部長は「毎日、毎日、彼は笑顔で、心は幸せいっぱいで、皆を同じような気持ちにさせてくれた。全ての人をリスペクトし、誠実で、そして素晴らしいユーモアもくれた。本当に、いつも、いつも」とツイッターでコメントした。その通りに、バルブエナの周りには常に笑顔があふれていた。

自らのことを「ハッピーガイ」と言い、日本のメディアに対してもニコニコとかわいらしい感じが印象的だった。ポジティブで、努力家でもあった。18年シーズンは打撃不振が続き、毎日のように早出の特打で汗を流していた。一生懸命。シンプルに、この一言が似合う選手だった。

道半ばでかなわなかったが、夢は「ワールドチャンピオンになること」と言っていた。多くのメジャー選手と同じ、壮大な目標をいつか成し遂げるはずだった。もう1つ、野球以外で夢があった。「たくさん旅行をすること」。旅先の希望は日本だった。メジャーデビューした08年9月はマリナーズに所属し、イチローのプレーを間近で見ていた。今年8月にエ軍を戦力外となるまで、大谷と一緒にプレーした。日本人選手とも何か、縁があった。日本でのプレーの希望を口にしたこともあった。

個人的には、前向きで何事も一生懸命なバルブエナが、メジャーの舞台に戻ってくること、また日本のプロ野球でプレーすることを期待していた。それだけに悲しい知らせとなった。だが、バルブエナの笑顔は多くの人の記憶にしっかりと刻まれていることだろう。

【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)