トランプ大統領の嫉妬による始球式発言がヤンキースとホワイトハウスを混乱に陥れたようだ。27日付けのニューヨーク・タイムズ電子版が伝えたもの。

23日に行われたヤンキース-ナショナルズのシーズン開幕戦で米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長が始球式を行った。ファウチ所長は新型コロナウイルス感染対策で科学的観点からさまざまな発言をし、トランプ大統領と対立することもいとわないことからアメリカ国民から絶大なる信頼を得ている。そのファウチ所長はナショナルズのファンとしても知られ、この日始球式を行った。ナショナルズのマスクを着用して投じたボールはホームベースから大きくそれたものの、その様子を写した24時間限定のトレーディンカードが5万枚を超える史上最多販売数を記録するなど改めてその人気ぶりを示したのである。

そんなファウチ所長を妬んでトランプ大統領が予期せぬ発言をしたのだと同記事は報じている。始球式の数時間前、報道陣に対し、先週ヤンキースのランディ・レビン社長から招待され、8月15日のレッドソックス戦で始球式をしてほしいと頼まれたと明かしたのだ。「ランディ・レビンはヤンキースの親友だ。彼が始球式をしてほしいと頼んできた。8月15日にヤンキースタジアムで行うと思う」と語っている。

が、その直後にトランプ大統領はツイッターに「ワクチンや経済など、予定されている会議を含めてチャイナ・ウイルスに強く対処するため、8月15日のヤンキース戦ではニューヨークで始球式で投げることができない。シーズン後半には必ず行う!」と投稿し、自らの発言を否定した。

記事によれば、実際にはヤンキースもホワイトハウスも始球式について検討していなかったという。ただ以前レビン社長が日を定めず始球式をしてほしいと大統領に語っていたことがあり、そのことが頭にあり、ファウチ所長の始球式に嫉妬していた大統領が最初の発言の直前にヤンキースに電話して始球式の手配をするように指示したのが真相だとした。8月15日には既に別の予定が入っていたことから直後の否定に至ったということである。

新型コロナウイルス対策で批判を浴びることが多い、トランプ大統領の軽率な発言の影響がMLBにまで及んでしまったようだ。