ヤンキース田中将大投手(28)が、天敵レイズを6回途中までパーフェクトに抑える快投で自己最多の14奪三振を記録し、今季8勝目(9敗)を挙げた。速球系、変化球とも、思うままに決まった。「コントロールがいいから、キレも出る」と、立ち上がりからすべてがうまく回った。特にスライダー、スプリットの動きは鋭く、初回の先頭から5者連続の空振り三振。6回の打者2人まで無安打無四球のパーフェクト投球で強力打線を圧倒した。

 レ軍とは開幕戦と5月20日に2度対戦し、計5本塁打を浴びていずれもKOされた嫌な相手だけに、雪辱を果たしたい登板だった。マウンドで何度も独り言を言いながら「気持ちはそれはもう、もちろん入ってました。やっぱりやられてましたから」と気迫がこもる。7回に4番デューダにソロ本塁打を浴びたが、8回をわずか2安打、無四球で1失点。最後の回は先頭から2者連続三振に退けたところで球数が100球に達したが、最後の打者にフルカウントまで粘られながらも力を振り絞り、9球目のスプリットで14個目の三振を奪った。「(最後は)しっかりと押し切ろうと思って、根負けしないように投げました。うまくボールを操れていたと思います」と納得の投球だった。

 白星は25日ぶり、2桁奪三振は今季3度目。チームも5連勝で地区首位に1カ月ぶりに返り咲いた。ジラルディ監督は「最近6、7試合の内容は良かったが、今日は特に見事だった。いい方向に向かっている」とエースの復活を喜んだ。【水次祥子】

 ▼田中が大リーグ自己最多の1試合14奪三振。これまでは今年5月26日アスレチックス戦の13個が最多だった。1試合14奪三振以上をマークした日本人は野茂(4度)ダルビッシュ(5度)に次いで3人目。田中の2桁奪三振は大リーグ通算10度目になり、日本人の10度以上も野茂(31度)ダルビッシュ(32度)に次ぐ3人目。