新人王が現実味を帯びてきた。エンゼルス大谷翔平投手(24)が、ア・リーグの週間MVPに選出された。シーズン2度目の受賞は野茂以来2人目。新人で2度は日本人初となった。この日はレンジャーズ戦に「5番指名打者(DH)」で出場。4打数2安打1盗塁だった。9盗塁と10試合登板の同時達成は1915年ジョージ・シスラー以来103年ぶりと、また1つ逸材ぶりを発揮した。

新人王へ、まっしぐらだ。大谷が2安打を放ち、8試合連続安打で勢いを加速させた。4回に6試合連続の長打となる二塁打を放つと三盗も決めた。アウトの判定に手を振って否定。指揮官のチャレンジで覆った。7回には2死一、三塁から左前適時打。「どの球種が来ても対応ができるような準備をしようと思っていた」と、メジャー特有の手元で動く球にも華麗な手さばきでヒットとした。8試合連続安打には「良い形で(打席に)入れている」と手応えもあった。

試合前には、日本人では野茂以来となる今季2度目の週間MVPに選ばれた。「ポストシーズン(進出)が狙える位置でとれれば、もっとうれしいかなと思う」と笑顔はなかったが、この1週間で打率4割7分4厘、4本塁打、10打点。チームの主砲トラウトをもしのいで獲得した。米メディアだけでなく、ソーシア監督からも「このままのプレーを継続できたら、新人王も獲得できる」と太鼓判。「監督にそう言ってもらえるのは、すごくうれしい。期待に応え続けたい」と、現実味を帯びてきた新人王獲得に意欲をのぞかせた。

絶好調の要因の1つに、数字では分の悪かった左腕の攻略がある。9月以降に限っていえば、15打数6安打で打率4割。この日も全4打席で左腕と対戦し、2安打を放った。「量(対左の打席数)が多くなってきているので、その分、進歩する」と謙虚に話しつつ、「1打席1打席、前進はしている」と手応えもある。打席での自信が数字にも表れてきた。

打率も再び上昇し、2割9分4厘。3割の大台も見えてきた。メジャー1年目で100試合以上に出場して打率3割となれば01年のイチロー以来17年ぶり。打率3割については「特に目指してはいないですけど、もちろん行く(到達する)ことに関しては、すごい良いこと」と冷静だったが、手の届く位置まで来た。この勢いがあれば、新人王も打率3割も、達成できそうだ。【斎藤庸裕】