【アナハイム(米カリフォルニア州)18日(日本時間19日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(24)が、得意の本拠地で今季初アーチを放った。

ロイヤルズ戦に「3番DH」で出場。2点リードの6回1死一塁の第3打席、ジュニスの内角高め直球を完璧に捉えた。苦しめられた内角攻めを攻略する1発で、6試合連続安打もマーク。打者復帰してちょうど10試合目、待望のホーム弾となる2号2ランでチームの2連勝に貢献した。

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乾いた打球音が鳴り響いた。一斉に立ち上がった観客とともに、大谷はゆっくりダイヤモンドを回った。待望の本拠地での今季1号。「良いものですね。盛り上がりも素晴らしいですし、打つことで球場全体の雰囲気が良くなる」。スタンディングオベーションの中、ベンチで仲間と喜び、あどけない笑顔を見せた。4万3415人の前で放った1発はやはり一味違った。

元女房役のロ軍マルドナド捕手との駆け引き合戦だった。3回の第2打席。ほぼ同じコース、同じ球種の内角直球で中飛に打ちとられたが「詰まったけど、悪くなかった」。自分の感覚を信じ、次打席につなげた。ボール1個分、やや甘く入った直球を逃さず捉え、「打った瞬間、行くかなと思った」。今季は内角攻めが増え、この日も第3打席までの8球中、6球が内角。それでも「特にインコースが多いとは感じていない」と、崩されることなく自分の間合いでバットを振り抜いた。

“本拠地効果”も後押しした。「打撃練習から一番多く打っている場所。打席での景色から、普段通り入れる」と自然体で臨めた。打者復帰前から、チームが遠征の間も黙々とエンゼルスタジアムで練習を続けた。非公開でフリー打撃を行っていた4月上旬には20スイング中13発をスタンドに放り込むこともあったという。それだけ、慣れ親しんだバッターボックス。内角を攻められても「必ず甘い球も来る。そこに自分が反応していければ十分、対応できる」と自信があった。

少しでも甘くなればスタンドに放り込まれる。大谷の1発に敵将のヨースト監督も「危険な打者。(肘の)けがなんかしていないように見える」とあらためて警戒を強めた。打者復帰後、敵地では6試合目にアーチが出たが、本拠地では2試合目で放った。「完璧な試合はなかったですし、悪いところを良くできるように、良いところをさらに良くできるように、そういう毎日を続けたい」。心地よいホームの舞台で、本領を発揮し始めた。

◆大谷の打球データ 2号2ランの打球は飛距離393フィート(約119・8メートル)、最高到達点152フィート(約46・3メートル)、打球角度39度、打球速度111・0マイル(約178・6キロ)。データ解析システム「スタットキャスト」担当のアドラー氏は「ムーンショット(月への1発)だ。とても速く、そして高く上がった」とツイート。打球角度は今季のエ軍の本塁打で最も高い。