【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)16日(日本時間17日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(24)がメジャーで初めて父の日にプレーし、4打数2安打と活躍した。

「3番DH」で出場したレイズ戦、5回の第3打席で右前打。9回2死からは投手強襲の内野安打を放ち、今季12度目のマルチ安打。チームは惜しくも敗れたが、父・徹さんの教えでもある全力プレーで存在感を示した。

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父の日の話題を振られると、大谷は照れくさそうに笑った。「感謝はもちろんしています。まだまだ先が長いので、今日1日で終わるわけはないですし、シーズンをいいものにできれば、もっともっと、いいところが見せられる」。メジャーで初めて経験した父の日の試合は1点差で惜敗。それでも四球と2安打で3度出塁し、はつらつとした全力プレーを見せた。

父・徹さんとともに、大谷野球の礎を築いた。最も大事にしていることは「初歩的なことかなと思います。一塁に走るとか、そういうこと」。一塁まで全力疾走する。メジャーでも実践し続ける原点だ。この日も最終打席の9回1死、ライナー性の打球で投手を強襲し、三塁へボールが転々とする間に一塁ベースまで必死に、懸命に走った。

子どもの頃、グラウンドで目いっぱい汗を流しながら基本の反復練習を続けた。「技術的なことはもう、本当に基礎の部分で体に染みついているかなと思う。そういうできることは、しっかりできれば」。年月をかけて、たたき込んだ。忘れるはずもない。「無意識に継続していると思う」。固めた土台が、血となり肉となり、純粋な野球少年は日本を代表するメジャーリーガーへと成長した。

父の日のプロモーションとして、水色のスパイク、肘当て、手袋を着用した。普段と違う感覚については「そうですね、大人の事情も含めて(笑い)」。日本との時差で1日遅れとなったが、父へ連絡は「してないです。あまり連絡とらないので、普段は。まあ向こうからは来ますけど」と淡々と話した。いつでも100%のプレーは、言葉でなくてもきっと伝わっている。