【シアトル(米ワシントン州)23日(日本時間24日)=四竈衛】開口一番の言葉は本音だった。マリナーズ菊池雄星投手(28)がオリオールズ戦に先発し、6回を5安打3失点にまとめ、5月19日以来の4勝目。6試合ぶりの白星に、しみじみと言った。「1カ月、しんどかったなあ…と」。

ここ5戦で4連敗。序盤でのKOが続いた。8日エンゼルス戦では、野球人生初の3者連続被弾。勝てないだけでなく、内容も本調子には程遠かった。首脳陣の助言もあり、ブルペンでの球数やトレーニング量を落とすなど、登板間の調整法を変更。不安の中でも、周囲の意見に耳を傾ける謙虚さは失わなかった。

もっとも、序盤は安定感を欠いた。2回までに4四球。メジャー初のボークも宣告され、相手に先手を許したが「ブルペンから決して悪い感じではなかったので、徐々に良くなると信じて投げていました」。3回を3者凡退で切り抜けると、直後に味方打線が8得点。大量援護もあり、中盤以降はチェンジアップを交えた組み立てもテストした。

最速は153キロ。一方で145キロ前後の速球でも勝負できることを実感した。「100%じゃない時に、どういう投球ができるか。これから1つのテーマになるかと思います」。中4日で戦うメジャーで生き抜くためのヒントもつかんだ。

苦悩のトンネルは抜けたが「まだまだ良くなるはずという、自分自身への期待を持ちながら、次の試合に向かいたいと思います」。次回は29日(同30日)の敵地アストロズ戦。地区首位の強力打線相手のマウンドが、完全復調へのバロメーターとなりそうだ。

 

 

マリナーズ・サービス監督(菊池について)「奇妙な1日だったね。リードが広がってから落ち着いたし、チェンジアップが効果的だった。打線に助けられたが、投手にすれば勝ちは勝ち。とてもポジティブな登板だった」