【アナハイム(米カリフォルニア州)18日(日本時間19日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(25)が、本塁打なしのトンネルから抜け出した。

ホワイトソックス戦の7回無死一塁から16号2ランを放った。続く打席でも内野安打を放ち、5打数2安打2打点。メジャー最長の9試合連続安打で、73打席アーチなしのメジャー自己最長ブランクを止めた。この日は岩手・花巻東高の先輩、マリナーズ菊池雄星投手(28)がメジャー初完封。先輩と後輩がそろって、期待に応える活躍を見せた。

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大谷の粘り腰がようやく通じた。7回無死一塁、左腕デトワイラーの外角カットボールに食らいついた。

「追い込まれている割にはいい反応だった」。カウント2-2からタイミングを外してきたバッテリーに体勢を崩されたが、右手1本、目いっぱいに伸ばした。中堅越え16号に「かなり久々の感じでした。ほっとはする」。ダイヤモンド1周後の仲間の出迎えは、やはり心地よかった。

前打席まで73打席アーチなし。メジャー最長のブランクを、メジャー最長の9試合連続安打で止めた。安打を続けても「焦りというか、求められている仕事ができないというのはあった」。得点力アップを期待される3番打者。物足りなさは少なからず感じていた。その中で「打てなかったという打席の方が収穫はある」と言い聞かせてきた。中飛に終わった打席でも「僕の中では良かった。選手は内容が大事」。重ねた凡打に光明を見いだしてきた。

結果だけにとらわれず、辛抱強く我慢した末に、アーチを描いた。くしくも同日、国境を越えたカナダで先輩の菊池もメジャー初完封。1カ月前、思うような投球ができていなかった菊池に対し、大谷は「いい時、悪い時あると思う。先発ローテーションで回っているだけでも十分、財産になる」と好転を信じていた。それだけに先輩の力投に「素晴らしいなと思います。また来年(対決を)やるかも分からないので、楽しみにしたい」とうれしそうな笑顔をみせた。

5打数2安打2打点でチームの快勝に貢献。「調子が悪い中でも率がまずまず残っているということに関していえば、成長しているのかなとも捉えられる」。まだまだ本調子ではないが、8月初の1発に「いい形になるんじゃないかなという、明日からも楽しみだなというそういう気持ちにはなる」。シーズン残り1カ月半。苦しんでも、はい上がる。変わらぬ姿勢で全うする。