メジャー6年目を迎えたヤンキース田中将大投手のこれまでを数字だけで見れば、1年目の前半戦や14勝を挙げた16年を評価する声は多いのかもしれない。だが、本当の評価はポストシーズン(PS)にあると言っても過言ではない。だからこそ、田中は常にPS進出を想定し、投げ続けてきた。

米デビューした14年、田中の速球は155キロを計測することも珍しくなかった。だが、体への負担は想像以上だった。「完全にやり過ぎでした」。おそらく、今でも腕をより強く振れば投げられるだろう。だが、あえてそうしない。昨今の直球は148キロ前後。故障防止だけではない。公式戦162試合ではなく、ワールドシリーズ第7戦まで全181試合を全うするために、田中は逆算し“全力投球”の考え方を改めた。

米移籍当時25歳だった右腕は30歳となり、1男1女にも恵まれた。「プレーオフに入れば自然と上がって来るのは分かっています。しっかりオンとオフのめりはりを付けながら、生活していけばいいのかな」。過去PSでは、5試合に先発し、3勝2敗ながら防御率1・50。田中の真骨頂とも言える、熟成した投球を見せる時期が近づいてきた。【MLB担当=四竈衛】