ア・リーグ優勝決定シリーズが開幕し、10年ぶりのワールドシリーズ進出を目指すヤンキースがアストロズに快勝し、会心のスタートを切った。先発田中将大投手(30)が、6回1安打無失点。許した2走者も併殺で切り抜け、二塁を踏ませない完璧な投球だった。

米国でも大舞台に強いとの評判が定着した田中の、ポストシーズン防御率は1・32。重圧を乗り越える精神力こそ、真骨頂だった。「数字が残っているので、それを言われるのも分かるんですけど、何より喜びというのは、試合に勝った、自分の持っているものを出し切った、試合後のそういうところだけです」。最大の難関と思われた敵地初戦で快勝。「いい野球ができていると思う。次にマウンドへ上がる時までにしっかり準備したいと思います」。文句なしのスタートを切った。(ヒューストン=四竈衛)

▼田中が地区シリーズに続いて白星を挙げ、ポストシーズン(PS)通算5勝目。1シーズンでPS2勝した日本人投手は、07年松坂(レッドソックス)08年黒田(ドジャース)17年の前田、ダルビッシュ(同)田中(ヤンキース)に次いで6度目。複数シーズンで達成したのは田中が初。

▼PSでの先発は通算7度目で、日本人投手では松坂に並ぶ最多タイ。松坂は先発7試合で防御率4・79だったが、田中は同1・32。7試合中3試合で無失点に抑える安定した投球で、日本人最多を更新するPS通算5勝目を挙げた。

▼田中はデビューから最初のポストシーズン7試合すべてを2点以下に抑えており、これはサンディ・コーファックス(ドジャース)の6試合を抜き史上最長記録。