【ヒューストン(米テキサス州)22日(日本時間23日)=四竈衛】115回目のワールドシリーズ(WS)が開幕し、初出場のナショナルズが逆転で17年世界一のアストロズに競り勝った。若き4番のフアン・ソト外野手(20)が、ソロ本塁打を含む3安打3打点の活躍。ワイルドカードから悲願の世界一へ、好スタートを切った。なお、第2戦は23日(同24日午前9時7分開始予定)、ア軍バーランダー、ナ軍ストラスバーグの両先発で行われる。

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あどけなさの残る20歳の大砲ソトが、緊張するはずの初の大舞台でのびのびとバットを振った。4回、難敵コールの155キロの外角速球を、左中間上部を走る機関車のレールまで運ぶ同点ソロ。1点を勝ち越した直後の5回には、左翼フェンスに2点適時二塁打をたたきつけた。「外角を意識して反対方向へ打つことを心掛けたんだ」。

公式戦では、コールとの対戦経験はない。だが、ア軍とは春季キャンプでフロリダ州ウェストパームビーチの施設を共用。オープン戦で対戦した際の球筋は、脳裏に残っていた。15日のリーグ優勝決定後、6日間の練習期間では、引っ張り気味だった打撃を修正し、本来の広角打法を取り戻した。さらに、コール対策としてスカウティングリポートから高めの速球に狙いを定めた。「体重を残して打とうとしただけだよ」。デビュー2年目の今季、主軸のハーパー(現フィリーズ)が抜けた穴を埋める、34本塁打、110打点の実績は、やはり本物だった。

この日で20歳と362日。WSのデビュー戦本塁打としては、1996年のアンドリュー・ジョーンズ(ブレーブス)に次ぐ史上2番目の若さとなった。その一方で、米国では21歳未満のアルコール摂取が禁じられているため、今ポストシーズンではシャンパンファイトに参加できず、1人別室でノンアルコールの飲料を口にしてきた。

25日に21歳の誕生日を迎える。一気の4連勝で世界一を決めたとしても、シャンパンファイトへの参加が解禁となる。35歳でWSに初出場し、初打席初本塁打を放った生え抜きのベテラン、ジマーマンは言った。「気負わずと言えば、簡単に聞こえるかもしれないが、20歳くらいでは難しい。この舞台で貢献できるのだから、ソトはカギに成り得るよ」。世界一を遂げれば、ラッキーボーイのソトではなく、真の主軸として、全身に美酒を浴びるに違いない。