人の力で夢を実現する。マーリンズとマイナー契約した加藤豪将内野手(25)が、招待選手として参加するメジャーキャンプを前に、意気込みを明かした。

ヤンキース時代に松井秀喜氏(現ヤ軍特別アドバイザー)やイチロー氏(現マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)らと出会い、デレク・ジーター氏(現マーリンズCEO)からも指導を受けた。ヤ軍にドラフト2巡目指名されてから8年目。縁をつなぎ、悲願のメジャー昇格を目指す。【取材・構成=斎藤庸裕】

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人なつっこい、野球少年のような笑顔を見せながら、加藤はうなずいた。

「縁があって、つながっているっていう感じですかね。ヤンキースにいた方々がマーリンズにたくさんいて、自分もまた行くっていうことですからね」

層の厚いヤ軍でメジャー昇格の夢はかなわなかった。19年シーズン後にマイナーFAとなり、移籍先を決める際、求めるものが1つあった。

「一番、自分のパフォーマンスが出来るところに行きたかった。マーリンズはたぶん15人くらい、元ヤンキースの方がいるんです。数字では出てこないような面でも評価してくれた」

マ軍にはジーターCEOを始め、マイナーで奮闘した加藤の7年間を知っているスタッフも多い。中でもダンカン打撃コーチとは、うれしい再会となる。

「3年前、マイナー時代のコーチだったんです。野球界にはたくさんの人がいますけど、また会うっていうのは縁があるのかな」

偉大な先輩たちとの出会いも財産となった。松井氏からは構えた時のバットのグリップの位置など、打撃指導を受けた。

「本当に松井さんにもお世話になって、皆さんにお世話になった。言葉が出ないですね」

イチロー氏とは、ヤ軍からマーリンズという同じ道を歩む。

「小さい頃からイチローさんに憧れて、青木さん(現ヤクルト)、福留さん(現阪神)もメジャーやWBCで活躍して、そういう方々の話を聞けただけでも、うれしかった。そこでアドバイスをもらえたのは、すごく貴重な時間でした」

日本人メジャーリーガーからの助言を胸に、昨季は3Aで自己最多の11本塁打、打率2割6分7厘。打率は5月中旬まで3割を超えていたが、メジャーからの声はかからなかった。

「結果が出ても上げてくれないこともあるので(笑い)。昔は4、5年後にメジャーに行きたいって、先、先を考えていたら、自分の出来ることをやっていなくて、いろんな人に抜かれた。上がりたくて上がれるわけではない。自分が出来ることをやるだけです。去年、改めて分かりました」

メジャー目前での学びは、今まで以上に加藤にとっての糧となった。最後に、夢を聞くと即答した。

「メジャーリーガーです。すごくシンプルに。本当に今、マーリンズでメジャーに上がることしか考えていないです。このチャンスを逃したくない」

多くの人とのつながりを力とし、近づいてきた夢。純粋に1歩ずつ-。一直線に進む。

◆加藤豪将(かとう・ごうすけ) 1994年(平6)10月8日生まれ。米カリフォルニア州マウンテンビュー出身。両親は日本人。3歳で日本に移り、6歳から米サンディエゴで野球を始めた。高校時代は主に二塁手で3度の州王者。13年ドラフト2巡目(全体66位)でヤンキース入団。尊敬するイチローの影響で左打ちに変えた。188センチ、88キロ。右投げ左打ち。