日本のヒットマンらしいファーストスイングだった。レッズ秋山翔吾外野手(31)は1回無死、ホワイトソックスの右腕シースの98マイル(約157・7キロ)直球を捉えた。鋭く振り抜いた打球は、甲高い快音とともに二塁手の横をライナーで越えていった。実戦初打席で中前へクリーンヒット。「たまたま打ったかな、って感じ。あんまり手応えはないんですけど。出ないよりは良かったなと思います」と控えめに苦笑いを浮かべた。

デビュー戦の朝、普段とは違う緊張感に包まれた。「シーズン中に『今日打てなかったらヤバいな』という緊張はあるけど、その中でも久々に感じる、試合前から、なんですかね…」とうまく言葉に表せなかった。「WBCのアメリカ戦だったりとか、CSとか、開幕の1打席目とかっていうのは、どうしても節目というか。ここから始まる、というのはあることなので」。オープン戦とはいえメジャーでの初試合は、国際大会やプレーオフと同じくらいの重みがあった。

コーチ陣や同僚の声に救われた。「Enjoy!! Have fun!!」。「そういう心境でやらなきゃだめなんだな」と気付き、打席に向かうとファンにも励まされた。名前がコールされると、大きな歓声と拍手で迎えられた。「すごい声援をもらって打席に立つことができた。これを経験できたのはすごく良かった」。

初安打だけでなく、2度の守備機会も落ち着いて捕球。「日本人だとパワーヒッターが打つような打球がどのバッターからも出てくる」。メジャーならではの力強さを感じつつ「まずは、処理できたことに関しては良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。

実戦デビューで3打数1安打。盗塁死はあったが、積極的なプレーでらしさを発揮した。「疲れました~。なんか疲れました、久々に」。いつもと違った疲労にも充実感がにじんでいた。次戦は1日空けて25日(日本時間26日)のエンゼルス戦に出場予定。大谷と日本人対決となりそうだ。(グッドイヤー=斎藤庸裕)