飛ぶボールの存在やボールの変更疑惑を否定し続けてきたMLB(大リーグ機構)の主張を覆す新たな研究が発表され、注目を集めている。

天体物理学者でスポーツデータ科学者のメレディス・ウイルス博士が3月31日、米国野球学会で、昨季ポストシーズンで使用された一部のボールがレギュラーシーズンのボールと違っていたという調査結果を明らかにした。

MLBでは昨季レギュラーシーズン、本塁打数が史上最多の6776本を記録しており、選手からは「前年までとボールが違う」「縫い目が小さい」等の指摘が出ていた。だがポストシーズンでは一転、ボールがレギュラーシーズンほど飛ばず、選手から疑問の声が上がっていた。それでもMLBはボールの変更を一貫して否定していた。

ウイルス博士は、昨季ポストシーズンで実際に使用されたボールを含め100球以上を解剖。ボールの内側には製造時期を示すコードが印字されており、昨季プレーオフで使用されていたボールには18年シーズン以前の使用球と同じコードのものが含まれていたという。18年以前のボールは19年レギュラーシーズンのものより飛ばないとされており、同博士の研究が事実であれば、昨季ポストシーズンで急にボールが飛ばなくなったのは、古いボールを使用したせいだと証明されたことになる。それでもMLBがボールの変更を否定し続ければ、機構に対する選手の不信感がまた募りそうだ。【水次祥子】