【アナハイム(米カリフォルニア州)12日(日本時間13日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、紅白戦に「3番DH」で出場し、中越えへ実戦で今季初アーチを放った

。3打数2安打2打点で、紅白戦2試合では7打数3安打と好調だ。13日(同14日)には投手として紅白戦に出場予定だが、実戦登板の前日に本塁打を放ったのはプロ初。単なる今季“1号”ではなく、二刀流の可能性を広げる1発だった。

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実戦マウンドを翌日に控えながら、大谷は打席でフルスイングした。5回2死一塁、エ軍の開幕投手に内定している左腕ヒーニーの2球目、甘く入った直球を体の近くで捉えた。高く上がった打球は中堅手トラウトとフェンス際での攻防となったが、最後の一押しが勝った。昨年9月11日以来、305日ぶりの1発。二塁を蹴ったところで振り返って本塁打と確認し、悠々とベースを回った。

本能をかき立てられたように、躍動した。投打で出場することを「普通だと思ってやってきた」と言い、二刀流が本来のリズムだ。メジャー1年目の18年は、調整期間として登板前日の試合を欠場していたが、この日は違った。紅白戦、オープン戦を含め実戦登板の前日に打者で出場するのはメジャーでは初めて。日本でも代打しかない。新たなケースのテストだった。

不安も一掃した。7日の紅白戦で先発後、腰の張りを訴えた。だが3日後には「状態が良かった」と志願して紅白戦に出場。第1打席で左翼線へ二塁打を放ち、鋭いスイングを見せていた。マドン監督は試合前、大谷について「何も悪いところはない。マウンドに上がって、打って。とにかくプレーして欲しい。そうすれば、彼はロケットのように空へ向かって進んでいく」と高い期待を寄せていた。60試合の短縮シーズンだけに、大谷のプレー機会をどれだけつくれるかが、チームの浮沈にも絡む。

登板前日に大谷が打てれば、二刀流起用の幅が広がる。マドン監督はこれまで、大谷の状態が万全であることを条件に「何かしていきたい」と話しており、新たな起用法に柔軟な姿勢を示していた。まずはこの日の打撃で登板前日の打者起用OKを証明したが、7日の紅白戦登板では3イニング相当で7四球と荒れていただけに、13日の登板が大事なマウンドとなる。今度は投手として、二刀流の本領を発揮する。

◆メジャー1年目の二刀流スケジュール 主に日曜日、週1度の登板で前後1日はそれぞれ試合を欠場。前日は登板に備えるための調整日で、登板翌日は体の回復に努めた。打者では基本的に週4度、DHで起用された。18年8月、実戦想定の投球練習(ライブBP)の前後で公式戦に打者で出場していたが、紅白戦、オープン戦を含めた実戦登板で、前日の打者出場はなかった。