【アナハイム(米カリフォルニア州)10日(日本時間11日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が値千金の4号同点2ランを放ち、接戦を制したチームに貢献した。アスレチックス戦に「5番DH」で出場。6回1死一塁、トリビノの初球を捉え、右中間スタンドへ完璧な当たりを放り込んだ。メジャー2年間で初球の打率は4割超え。持ち味の積極性で2試合連続のマルチ安打をマークし、チームの連敗を3で止めた。

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大谷が初球を捉えると、味方ベンチは一気に盛り上がった。7-9と点の取り合いで迎えた6回1死一塁。ア軍の4番手トリビノの初球、約154キロのツーシームを迷いなくスイングした。「打った瞬間、入るなと思いました」。静寂の中で乾いた打球音が響き、仲間に同点を確信させた。「初球からしっかりいいスイングができて良かった」。ゆっくりとホームを踏むと、白い歯を見せて笑った。

持ち味のスタイルが戻ってきた。メジャー2年間で初球の打率は4割3分3厘。今季は初球打ち5度目でようやく出た初安打が本塁打となった。「昨日から上がっていると感じていた。三振をしている内容、振っている感覚もまあまあ良かった」。前日の2安打と空振り三振に手応えがあった。見いだした修正点は「ボールの見え方だったりとか、ちょっとしたところ」。構えから投球を待つ段階のプロセスが改善され、初球を積極的にスイングできる間が生まれた。

二刀流だからこその心理も後押しした。1死一塁の状況で「ゲッツーを考えながら投げる。キャッチャーもピッチャーも、そういう風に頭の中で(考える)」と相手バッテリーの狙いを察知。打者の手元で動くツーシームに芯を外されることなく、ボールの軌道に合わせたスイングで本塁打とした。右腕の故障により残る試合で打者専念となるが、投手としての思考は健在だった。

4回の第3打席では左腕からの今季初安打となる二塁打を放ち、その後の得点につなげた。9連勝中だったア軍に最大5点差をつけられたが、チーム一丸で逆転。「大きいと思います。あのまま大差で終わるか、ひっくり返せるかで、これから先の戦い方にも響いてくると思う。明日、また勝てるようにやりたい」。巻き返しへの1勝とする。