【ピオリア(米アリゾナ州)7日(日本時間8日)=四竈衛】マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(47)が、シミュレーションゲーム(特別ルールの紅白戦)に“出場”した。背番号「51」のユニホーム姿で、まずは右翼の守備に就き、その後、借り物のヘルメットをかぶり、打席に向かった。

対戦相手は、開幕投手に決まっているエース左腕のマルコ・ゴンザレス。初球のボールを見逃し、2球目はファウル。3球目の際どいボール球にはバットが止まり、自ら「グッド・アイ(いい選球眼)」とおどけ、見守っていた菊池ら同僚から笑い声が上がった。ファウルを挟み、カウント2-2からの5球目のカットボールを打ち、左飛となった。

“緊急出場”はサービス監督からの強い要請だった。「朝、(クラブハウスに)来てから言われました。想定外ですよ」。それでも、凡退した直後は悔しさを隠さず「そりゃ、負けたくないという気持ちになりますよ。本能ですからね」と苦笑いを浮かべた。対戦したゴンザレスは「ノスタルジックな空気だった。マジで楽しかったよ」とうれしそうに振り返った。

今キャンプは、コロナ対策のため、例年より招待選手の人数を限定。チームが敵地へ遠征した際は居残り組の選手が不足する状況となったため、イチロー氏のほかにも、中堅を守ったマイク・キャメロン氏(インストラクター)らOBが助っ人として加わった。

今後も出場する可能性があるだけに、継続してきた打撃練習については「そのためじゃないですけどね。やっていれば、こういう時にも対応できますから」。現役時代と変わらず、前向きな姿勢を見せていた。