任天堂がマリナーズ経営権手放す 佐々木氏「感謝」

 米大リーグ、マリナーズは27日、過半数の株式を保有し筆頭オーナーとなっている任天堂が、10%の保有分だけ残して、地元企業グループに株を譲渡することになったと発表した。球団の経営権を手放すこととなり、最高経営責任者(CEO)のハワード・リンカーン氏は退任する。株式の売却は今年8月に行われる大リーグのオーナー会議の承認を経て正式に決定する。

 マリナーズは1992年、山内溥氏(故人)が社長だったゲーム機器メーカー、任天堂を中心とするグループが買収し、日本企業初の大リーグへの資本参加として注目を集めた。その後、2004年に山内氏が個人で出資する持ち分のすべてを任天堂の米国子会社が買い取り、それまでの保有分と合わせ、50%以上となった。

 現在はマーリンズでプレーするイチロー外野手のマリナーズ入りが正式に決まった際には、京都市南区の任天堂の本社で記者会見が行われた。

 CEOを退くリンカーン氏は記者会見で「山内さんが24年前にこの球団を買収した際、大リーグ機構から承認されるために大変苦労された。今ではこの球団をシアトルに残せたことを大変誇りに思う」と語った。

 マリナーズで抑え投手として活躍した佐々木主浩氏は「山内さんには相談に乗ってもらい本当に助けられた。多くの日本選手が在籍し、力を発揮できた」と感謝した。今季加入した青木宣親外野手は「日本企業で唯一だから世界に誇れる」と話し、5年目の岩隈久志投手は「僕らはやるべきことをしっかりやるだけ」と語った。