＜日刊スポーツ：２０１２年１月２２日付＞
プレーバック日刊スポーツ！ 過去の１月２２日付紙面を振り返ります。２０１２年の１面は、ダル自信有り！！語った投げたでした。
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【アーリントン（米テキサス州）２０日（日本時間２１日）＝四竈衛】強気に、クールに言葉を並べた。ポスティングシステム（入札制度）でレンジャーズ入りが決まったダルビッシュ有投手（２５）が、本拠地レンジャーズ・ボールパークで入団会見。往年の名選手の記念品が並ぶ特設会場「レンジャーズ野球殿堂」では約２００人の日米報道陣に冷静に対応。入札金と合わせて約１億１０００万ドル（約８２億５０００万円）を超える高額契約の重圧についても、ジョークで切り返すなど余裕たっぷりだった。
ズラリと並ぶテレビカメラの前でも、間断なく続く質問にも、ダルビッシュは冷静に、そして時折、ジョーク交じりに応対した。今後は、日米両国からの視線を一身に集める重圧とも闘う。それでも「プレッシャーに関しては、僕は頭が悪いので、あまり感じずに投げられると思います」と淡々と切り返した。
その一方で「もともと、大阪の羽曳野市で生まれたんですが、野球好きな子供の頃と変わっていない。日本でもそうですが、今でも注目されることには戸惑っています」とも言った。米国人に羽曳野の地名を挙げたところで、ピンとくるはずもない。それでも、故郷の名前を全米中継で口にするところが、強心臓のダルビッシュならではだった。
ユーモア好きの米国人から笑いを取ることも忘れなかった。球場が狭く、投手に不利といわれる本拠地について、端正な顔を変えることなくサラリと言った。「ちょっと不安なので、右中間のブルペンの奥を削ってくれ、と言っておいたんですが、それが通じるかどうかは…」。すかさずダニエルズＧＭに視線を送ると、同ＧＭも思わず苦笑い。当初は、堅苦しさのあった報道陣の雰囲気も和らぎ、会見はスムーズに進んだ。
もっとも、メジャー１年目へ向けた抱負は「不安は何もない。すごい打者、投手とやれるのが楽しみです」と力強かった。中４日の登板間隔については、さらに口調を強めた。「去年の後半は中５日で１２０球ぐらい投げて、その間にハードなトレーニングをしましたし、まったく問題ないと思います。野球に関しては、全然プレッシャーを感じることはないです」。冷静かつ、ユーモアを交えた自信たっぷりの全米第一声。クレバーさが際立つ、４５分間の会見だった。
◆ダル一問一答
──入団の決め手は
ダルビッシュ（以下ダル） １月初めに来てＧＭをはじめフロントの方と会って、家族のように迎えてくれた。それが決め手になりました。
──建山、上原には
ダル よろしくお願いしますと言いましたが、（レ軍が）どういう雰囲気とかは聞いてないです。
──どんな活躍を
ダル ストレートはみんなが思っているほど速くないですが、変化球は種類も多いしいい球をお見せできると思います。
──対戦したい打者は
ダル あまり知らないので思い浮かばないですね。ただレンジャーズとカージナルスのワールドシリーズは見ました。
──この時期にメジャー挑戦を決断した理由は
ダル 決意するまでにいろいろ経緯はありましたが、それは日本に帰ってからお話しします。
──昨年のワールドシリーズ第６戦を見て、あの場面で投げたいか
ダル あそこにいたら去年の僕だったらホームランを打たれて負けていたと思います。でも、今年だったら大丈夫だと思います（笑い）。
──背番号は１１
ダル プロに入って７年間つけていて、今回はそこまで執着はしていなかったんですが、球団が配慮してくれました。
──同地区にプホルス（エンゼルス）がいるが
ダル そんなに打席数を見ていませんが、飛びそうな体だと思います。
──テキサスといえはバーベキューステーキだが、印象は
ダル ステーキはいただきました。あとはブーツです。
──日本ではドーム球場で成績が良かったが
ダル ここ３年間ぐらいは屋外の方が投げやすいと思っていますし、全く問題ないと思います。
──ライアン社長の印象
ダル （著作の）本をプレゼントしていただきました。体が大きくて、今でも１５０キロぐらい投げそうでした。
──英語でスピーチは
ダル 聞く方は少しは大丈夫ですが、言葉が出てこないです。２カ月ぐらいすれば、良くなってくると思います。（スピーチの準備は）自主トレ先の宮崎から来て、ヒゲをそる時間も髪を染める時間もなかったので。
◆「１１」で第１球
ダルビッシュは会見終了後、メジャー“第１球”を投じた。背番号１１のユニホームを着てグラウンドに出ると、スクリーンには「テキサスへようこそ！」と日本語の文字が浮かび上がった。ユニホームを着てマウンドから山なりながらボールを投げる姿も披露した。
※記録と表記は当時のもの