マー君“マダックス”中7日でコーチと修正したこと

3安打完封勝利を飾ったヤンキース田中に「めっちゃ格好良かったよ、今日は」とレンズを向けると「今日もでしょ! 今日も!」とウイニングボールを手に最高の笑顔を見せてくれました(撮影・菅敏)

<レッドソックス0-3ヤンキース>◇27日(日本時間28日)◇フェンウェイパーク

 【ボストン(米マサチューセッツ州)27日(日本時間28日)=水次祥子】ヤンキース田中将大投手(28)がメジャー2度目の完封を、わずか97球で成し遂げた。宿敵レッドソックス打線を3安打に封じて今季3勝目(1敗)。大リーグを代表する左腕セールに堂々投げ勝った。100球未満の完封は殿堂入り名投手にちなんで「マダックス」と呼ばれるが、田中は今季初のマダックス達成者となった。

 ストライクゾーンの出し入れでゴロ、飛球を次々と打たせる姿は、92年から4年連続サイ・ヤング賞に輝いたマダックスそのものだった。田中は2回先頭のH・ラミレスに初安打を許して1死二塁とされたが、ボガーツを右飛に、ブラッドリーを得意のスプリッターで一ゴロに仕留めてピンチを脱出。5回無死一塁ではブラッドリーを一ゴロ併殺打に切り、グラブをたたいて喜んだ。

 27個目のアウトも内野ゴロで取り、がっちり抱擁したロマイン捕手からは「球がすべて良く、僕の仕事を楽にしてくれた」とたたえられた。田中も「良いリードをしてくれましたよ。彼のボディーランゲージもそうだし、乗せてくれる」と感謝した。制球力が戻り、先頭を出したのは2回と5回の2度だけ。得点圏に走者を背負ったのもわずか1度で、無四球だった。

 100球以下での完封はメジャーでも珍しく、14年に殿堂入りしたグレグ・マダックス氏にちなんで「マダックス」と呼ばれる。日本人では大家友和が05年に98球で、黒田博樹氏が08年に91球で、それぞれ1度達成しただけだ。

 そんな偉業を反骨精神で成し遂げた。この日は敵地フェンウェイパークが舞台。相手先発は昨年17勝のセールと、田中にとっては困難すぎる状況だった。それでも「9割セール勝つと、みんな思っていたんじゃないですか。10割かもしれないな。それを覆したいなって思って。ただ相手に向かっていくだけでした」と集中。ヤ軍投手によるフェンウェイパークでのレ軍完封は通算270勝のムシーナが02年に達成して以来というおまけもついた。

 この日はメジャーで初めて中7日で登板した。調整日につかんだものは「ない」と言ったが、ロスチャイルド投手コーチは「手を少し早めに離し、落ちる球に角度をつけるようにした。それが大きな修正になったかは分からないけれどね」と明かした。調子を上げてきた田中。先発が予想される次カードのブルージェイズ戦へ「いい投球を繰り返していくことが大事」と気を引き締めた。