ダルビッシュ125球3勝 誤解恐れず口にした本音

<レンジャーズ6-3エンゼルス>◇4月29日(日本時間同30日)◇グローブライフパーク

 レンジャーズのダルビッシュ有投手(30)がエンゼルス戦に先発し、6回3安打2失点(自責1)4四球10奪三振の力投で、今季3勝目(2敗)を挙げた。今季メジャーの先発投手で最多となる125球を投げ、今季2回目、通算30回目の2桁奪三振をマークした。

 逆転した直後の6回表。3四球で1死満塁となった時点で、球数は117球に達していた。だが、レ軍ベンチは動こうとしない。ダルビッシュは、その意図を自分なりに理解しようとした。「試されているなと。あそこで投げさせてもらえたことに、かなり驚きました」。自らまいた種は、自らつみ取るしかない。後続2人に犠飛すら許さず、無失点でピンチを脱出。地元ファン総立ちの拍手が、ねぎらいのメッセージだった。

 試されたのではなく、責務を一任された。試合後、バニスター監督は、よどむことなく続投の理由を明かした。「彼はエース。被安打3本で、まだシャープだった。球数は承知していたが、あの状況はエースに託すものだ」。3回まで無安打無失点6奪三振と力投する一方、球数は57球。4回に失策絡みで2点リードを許したものの、エースの力量に疑う余地はなかった。ダルビッシュも「(左腕)ハメルズと同じように見てくれるのはうれしい」と気概を感じ、結果で応えた。

 2015年3月の右肘手術以来、着実にステップを踏んできた。前回登板の23日(ロイヤルズ戦)では、術後最多の113球を投げ切った。さらに、中5日の今回は125球。完全復活に近づく半面、常に未知の領域で自分の体と向き合ってきた。だからこそ、ダルビッシュは誤解を恐れず、本音を口にする。

 「この前(23日)よりさらに怖いです。球数が多くても、ヒジが大丈夫かどうか。今、大丈夫でも明日どうなっているか、分からないですから。またトミー・ジョン(手術)をやったら野球は終わりなので…」。物おじしているわけではない。新たなカベをクリアしていくうえで、慎重さと繊細さは不可欠となる。125球の力投が、ダルビッシュのエースとしての自覚を、より鮮明に映し出していた。【四竈衛】