大谷、今オフ欲しい!MLB新ポスティング交渉へ

ストレッチする日本ハム大谷(撮影・田中彩友美)

 日米球界が「大谷ルール」の協議を開始する。米大リーグ機構(MLB)が、日本野球機構(NPB)に対して、ポスティングシステムの改正を申し入れることが3日、分かった。ヤンキース田中がメジャー移籍する直前の13年12月に締結した現行システムは、昨年10月31日までの3年契約で、日米いずれかが再交渉を希望すれば、協議を開始する規定がある。日本ハム大谷翔平投手(22)は、早ければ今オフにも同制度で大リーグ挑戦する可能性があり、米球界が動きだした。

 MLBが、大谷の大リーグ挑戦に備えてポスティングシステムの再交渉を求める見通しになった。現行制度は、昨年10月31日までの3年契約だったが、大谷が米国挑戦する可能性が低かった昨季は、日米ともに期日までに再交渉を希望せず、1年間の自動延長が決まっていた。

 日米選手協定には、自動延長後も毎年10月31日の180日前となる5月4日(米国時間5日)までにMLBまたはNPBが改正を希望すれば、両国が協議を開始すると明記されている。昨年オフの契約更改で、大谷は球団にポスティングシステムでの大リーグ移籍を直訴。早ければ今オフにもメジャー挑戦する可能性が出てきたことで、米国球界が動きだした格好だ。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕した3月7日には、来日したMLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが、今後もポスティングシステムを継続させていく希望を明言。大谷の存在に言及しながら「今年に関してはディスカッションはあると思う」と、MLB側から改正協議を申し入れる可能性を示唆していた。

 現行制度では、大リーグ球団が日本の球団に支払う譲渡金の上限は2000万ドル(約22億円)に定められ、その額を支払う意思があるすべてのMLB球団が、選手と30日間交渉することができる。旧制度は譲渡金の上限がなく、交渉は最高落札額を示した1球団に限られていた。現制度で移籍したヤンキース田中、ドジャース前田の2人はともに2000万ドルで移籍したが、譲渡金の上限がなかった06年のレッドソックス松坂(当時)は入札額約5111万ドル(約60億円=当時)、11年のレンジャーズのダルビッシュは同約5170万ドル(約39億円=当時)で移籍した。今後はMLB側から、NPBに対して、改正案を提示するとみられる。

 今季の大谷は、右足首を痛めてWBC出場を辞退し、4月8日のオリックス戦では、左太もも裏を肉離れして、2軍調整を続けている。現在は1軍復帰に向けてリハビリを行っている段階だが、獲得を目指す大リーグ各球団の高い関心に変わりはない。NPB側は、対応を迫られることになりそうだ。