大谷効果!?メジャーに広がる「二刀流」育てる動き

日本ハム大谷(2016年10月5日撮影)

 二刀流として日米で名をとどろかせる日本ハム大谷翔平投手(22)の動向が注目される中、メジャーでは二刀流選手への門戸が広がり始めている。12日(日本時間13日)から3日間にわたって行われたMLBドラフトでは、全体2位と4位で指名された2人が、二刀流スター候補として注目を集める選手だった。大谷の存在が、MLB球界を揺り動かしたのか、複数の球団で、二刀流選手を育てようという動きが出てきている。

 メジャーには今、二刀流に挑戦する選手が現れている。パドレスのベタンコートは昨季から野手兼投手に挑戦し、ドジャースのアイブナー外野手は、球団から強肩を買われ今季から投球練習を開始した。アイブナーによると「今は4~5日に1度、ブルペンで投げている。肩を作っていきながら、速球以外の球種、スライダーとチェンジアップを習得している」という。

 アイブナーとは逆に、基本は投手だが打撃力を買われ二刀流に取り組んでいるのがレッズのロレンゼン投手。「可能な限り打撃練習をしているし、外野でフライ捕球もやっている。常に、もしもの出番に備えている」と二刀流に意欲的だ。

 救援投手と打者の二刀流が実現しつつあると同時に、先発投手が代打に起用される機会も増えた。投手が打席に立つナ・リーグでは投手も打撃練習を行うが、室内ケージのみで簡単に済ませる球団と屋外のフリー打撃にも十分な時間を割いている球団がある。例えばメッツは後者の方で、それが功を奏してかジェイコブ・デグロム(28)は昨季までの通算1割8分4厘から、今季、打率を2割9分(18日現在)まで大幅に上げた。

 ア・リーグはどうか。06年WBC米国代表の監督も務めた解説者のバック・マルティネス氏(68)はメジャーが今、二刀流を受け入れる流れになっていると指摘し、日本ハム大谷がもしメジャーに移籍すればア・リーグもあり得ると明言。「賢い監督なら、彼をDH兼抑え投手で起用するのでは。または毎週月曜日に先発登板させ、水曜日に投球練習の代わりにリリーフ兼DHで起用することも可能」と話す。今年ドラ1の二刀流、全体2位(レッズ)のハンター・グリーン(17)は投手で、全体4位(レイズ)のブレンダン・マッケイ(21)は一塁手で指名されているが、両球団とも二刀流選手として育成していく方針だという。二刀流選手が珍しくない時代も、遠くはない。【水次祥子】

 ◆米国の二刀流 大リーグで最も成功した二刀流選手はベーブ・ルースといわれる。ルースは主に選手生活前半のレッドソックス時代に投手として活躍。通算94勝46敗、防御率2・28の成績を残した。打者としてはレ軍最終年の1919年あたりから本格的に開花。20年にヤンキースに移ってからは主にバットで貢献し、通算3割4分2厘、714本塁打、2214打点をマークした。米国では「二刀流」というと他種目との掛け持ちを意味することも多い。ロイヤルズに所属しながら、米NFLレイダーズでもプレーしたボー・ジャクソンや、ヤンキースやブレーブスでプレーしながら、NFLファルコンズなどに所属したディオン・サンダースが有名。