ドジャースで初勝利のダルビッシュ、新データで変化

<メッツ0-6ドジャース>◇4日(日本時間5日)◇シティフィールド

 新天地で「一発快投」だ! 7月31日のトレード期限最終日にドジャースへ電撃移籍したダルビッシュ有投手(30)が、ド軍初登板を快投で飾った。メッツ戦に先発し、7回3安打無失点1四球10奪三振。レンジャーズ在籍中の6月12日以来、9試合ぶりとなる今季7勝目(9敗)を挙げた。デーブ・ロバーツ監督(45)をはじめ新同僚からの信頼を得る1勝となった。

 スコアボードに7つの「0」を並べたダルビッシュをダッグアウトのロバーツ監督が熱いハグで出迎えた。7回3安打無失点10奪三振。新背番号「21」で臨んだド軍デビュー戦で最速97マイル(約156キロ)の速球を軸にメ軍打線を圧倒した。試合後、同監督が「ショーを楽しんだよ。同僚やコーチたちの喜びが見えただろう」と興奮気味に語るほど。ダルビッシュ自身は「握手しただけだと…。覚えてないです」と振り返ったが、それほどベンチ内のテンションは上がっていた。

 トレード決定後、慌ただしい中で臨んだマウンドだった。レ軍の本拠地ダラスで荷物をまとめ、1日夜、ド軍の遠征地アトランタへ移動。さらに前日3日はチームを離れ、単独移動した飛行機が悪天候のため遅れた。レ軍残留の場合、1日に登板予定だったのが3日間ズレたこともあり、調整は簡単ではなかった。「完璧になんかできないから適当にやってました」。期待と注目度の高い一戦を前に、神経質になり過ぎず、心身ともに準備を進めた。

 その一方で、ド軍の野球スタイルに適応しようとする姿勢も見せていた。試合前のホテルでは、データを重視するザイディGMと面談。各球種の使い方やコース、割合など、ド軍独自の情報をインプットした。「今までそういうのはもらったことがなかったです」。前回登板のマーリンズ戦で10失点KOされた際に発見された球種のクセも修正。捕手グランダルのサインに首を振ることなく、快投につなげた。

 1988年以来29年ぶりの世界一を目指すド軍で「優勝請負人」として期待される立場。そんな重圧も「一発快投」ではね返した。試合後の会見では、ド軍の一員となった実感を聞かれると、「まだ省かれていると思います」とジョークで切り返し、米国メディアの笑いを誘った。監督、チームメートだけでなく、ド軍ファンの心をガッチリとつかむ99球だった。【四竈衛】