イチロー驚異の132m弾、スタントンより飛ばした

<フィリーズ8-12マーリンズ>◇ダブルヘッダー第1試合◇22日(日本時間23日)◇シチズンズバンクパーク

 マーリンズのイチロー外野手(43)が22日(日本時間23日)、今季3号となる決勝3ランを放った。フィリーズとのダブルヘッダー第1試合、同点の7回に代打出場し、飛距離132メートルの特大の1発を右中間にたたき込んだ。これが今季21本目の代打安打となり、球団記録タイ。チームは12-8で勝利し、勝率を5割に戻した。

 打った直後に確信する当たりだった。イチローが放った打球は右中間にぐんぐん伸び、右翼手は早々と追うのを諦めた。6月11日以来の特大弾に「いったとは思いましたが」と余裕の表情で振り返った。

 7回、同点の無死一、二塁。どうしても1点が欲しい場面。「最初は(バントで)二、三塁にしようかと思った」と話すが、2球目までボールで狙いを変えた。「甘いところに来れば狙おうかな、という感じだった」。3ボール1ストライクから、甘く入った速球。この失投を逃すはずはなかった。マッティングリー監督は、値千金の1発に「本当に大きかった。あの1本がなければ、どっちに転んでもおかしくなかった」と満足げ。これで今季の代打安打は21本となり、球団記録に並んだ。メジャー記録の28本まであと7本となった。

 大リーグの分析システム「スタットキャスト」によると、飛距離は驚異の432フィート(約132メートル)。同システムが導入された15年以降、イチローが放った5本中最長。さらに、06年以降の本塁打データを公開しているESPN電子版によると、同年以降の最長は10年の422フィート(約129メートル)で、32歳以降では最も飛んだ1発になった。1死後に主砲スタントンが46号ソロを放ったが、それよりも86フィート(約26メートル)大きな当たりだったことから、米メディアでも注目を集めた。

 両軍9本塁打の乱打戦を制し勢いに乗ったチームは、第2試合も勝利。4月27日以来の勝率5割で、わずかながらワイルドカードでのプレーオフ進出の望みが出てきた。イチローは「雰囲気も悪くない。まあ、色気を出さずにできたらいいんじゃないですか。まだそういうレベルだと思いますけど」と穏やかな笑みで締めくくった。