イチローはしご打ち、マイナー2戦を行ったり来たり

練習試合に掛け持ち出場し、フィールドをカートで往復するイチロー(左から2人目)は犬と遭遇し笑顔(撮影・菅敏)

 右ふくらはぎ痛で別メニューとなっていたマリナーズのイチロー外野手(44)が14日以来、5日ぶりに実戦へ復帰した。2カ所で行われたパドレス相手のマイナーの練習試合に、特別ルールで交互に出場。全11打席に立ち“復帰後初安打”をはじめ、10打数3安打1四球5三振の内容だった。故障発生当時は開幕が絶望視されるほどの状態だったが、「3・29スタメン」へ向けて順調に再始動した。

 約300メートル離れた2つのグラウンド間をカートに乗って目まぐるしくはしごしながらも、イチローはご機嫌だった。14日の試合中に痛めた右ふくらはぎの状態が万全ではないこともあり、「DH」での復帰戦。マイナーの2試合に交互に出場する特別ルールながらも、11打席で全47球の生きた球を見られたことは有意義だった。

 しかも、3打席目には今季の開幕投手に決まり、調整登板で先発したパ軍のエース左腕リチャードから、三塁線を破る“移籍後初安打”をマークした。5打席目にも同投手からほぼ完璧な右中間二塁打を放つなど、故障明けを度外視しても、収穫十分だった。試合後、「そりゃ、大きいですね。いい練習ではありますよ」と、にこやかに振り返った。

 その一方で、イチローにしては珍しい5三振。マイナーの審判の判定に首をかしげ、苦笑しながらベンチへ戻るしかなかった。「18年目にしてマイナーの洗礼を受けるとは…。マイナーリーグは、やっぱ大変ですよね。メジャーでも大変ですけど」。空振り三振は1つだけで、あとは3つの見逃し三振に、バットを止めたハーフスイングを空振りと判定された三振。思わぬ“洗礼”も、マイナーの練習試合ならではだった。

 今後、メジャーのオープン戦に復帰するポイントは、走れるかどうか。この日は二塁まで到達する場面があったものの、依然として全力疾走には程遠い。イチロー自身、「あんまり走っていないですけどね。慎重に、ですけど、あれくらいならば全然(問題ない)」と話す一方で、現時点で守備に就けるかどうかは微妙な状況。マ軍はカノ、クルーズの主軸も故障明けとあって、オープン戦とはいえ、イチローを「DH」で起用する余裕があるわけでもない。「本当はメイン(メジャー)のゲームが、もちろん。できればそうですね」。20日の休養日を含め、開幕日まで残り10日間。慎重かつ、効率的な調整プランが、より重要になりそうだ。【四竈衛】

 ◆イチローのマイナー調整 マリナーズ移籍1年目の01年3月27日に初のマイナー調整。3Aと2Aの紅白戦に両軍のイニング先頭打者で出場。7回表までに13打席に立ち1本塁打、2盗塁を含む12打数6安打。セーフティーバントも2度試みた。