【ミネアポリス(米ミネソタ州)=四竈衛】メジャー通算2642度目の出場で最も寒かった試合だった。マリナーズのイチロー外野手(44)が、ツインズ戦に「8番左翼」でスタメン出場し、3打数2安打と今季2度目のマルチ安打をマークした。午後1時11分の試合開始時の気温が、当地での公式戦としては最低の氷点下3度。過酷な条件の中、メジャーの現役最年長野手はハツラツとしたプレーで勝利に貢献した。
凍り付くような空気の中でも、イチローはハツラツと走り回った。薄日が差すデーゲームとはいえ、試合開始時の気温は氷点下3度と、メジャー通算2642度目の出場で最も寒い試合だった。雲ひとつない快晴ながら米国気象サイトによると体感気温は氷点下9度。一日中、気温0度を超えない「真冬日」という過酷な条件下で「プレーボール」がコールされた。
試合直前までグラウンド上には霜よけのシートが掛けられるほどの大寒波。ダッグアウトには大型の温風機が設置され、通常は屋外ブルペンで待機する救援陣が室内ケージでスタンバイするなど、異例ずくめの一戦だった。それでも試合前のイチローはいつもと同じように屋外でストレッチ、ランニング、遠投などのルーティンを変えることはなかった。「風が吹かなきゃいいんだけど、風もあるからね。体感気温は相当低いですよ。マイナス9度ですか? 野球をやる気候ではないわね」。あまりの冷え込みにさすがのイチローも、苦笑するばかりだった。
そんな中で第1打席の初球に果敢にセーフティーバントを試みた。相手投手の好守に阻まれてアウトになったものの、極寒の状況にもためらうことなく、一塁へ全力疾走で駆け抜けた。「プロレスラーみたいな人がサードにいますからね。そりゃ、考えるでしょう」。寒空の下でも、体重117キロの巨漢、ツ軍の三塁手サノを狙う観察眼は凍っていなかった。
試合が進むにつれて気温は下がり続ける状況で、第2打席では左前打、第3打席では中前打を放った。左翼の守備では6回に左中間への打球を追い切れずに二塁打にしてしまったが、打撃は、いつも以上にホットだった。8日(同9日)の天気予報は氷点下1度で雪模様。ただ、百戦錬磨のイチローだけに寒さでひるむことはなさそうだ。