大谷 救世主となった最長7回2/3、最多110球

3回、ナインを指さしながらベンチに戻るエンゼルス大谷(撮影・菅敏)

<エンゼルス5-2レイズ>◇20日(日本時間21日)◇エンゼルスタジアム

 大谷翔平投手(23)がメジャー自己最長の7回2/3で最多の110球を投げてエンゼルスの苦境を救った。17日(同18日)から計20失点で3連敗を喫したレイズ打線に対して低めを突く戦略を徹底。6安打2失点、9奪三振の力投で4勝目を挙げた。今季ワーストの連敗街道でア・リーグ西地区の首位から3位に後退したチームの連敗を5で止めた。次回も中6日となれば27日(同28日)のヤンキース戦でメジャーで初めて田中と投げ合う可能性が高い。

 大谷はスタンディングオベーションに帽子をとって応えた。メジャーでは最長の7回2/3で最多の110球。「最後の方は僕もいっぱいいっぱい」と力を振り絞った。「いい流れで(マウンドから)降りられましたし、勝つ確率の高い降り方だった。8回もいけたっていうのも僕的にも良かった」。チームの連敗を5で止めた満足感があった。

 「調子はあまり良くなかった」。初回は制球に苦しみ、20球を要した。3回には4月にメジャーデビューした9番フィールドに先制本塁打を浴びた。だが、その後は12人連続で走者を許さない。4回には味方が逆転。「逆転するまでは耐えるピッチングが必要で、その後は勝つために全力で攻めた。メリハリはあったと思います」。役目を果たし、安堵(あんど)した。

 決して本調子ではなくても作戦を遂行できる。それは、大谷が高く評価される理由の1つだ。ナギー投手コーチによれば「ゲームプランは低めに投げる」だった。エンゼルス投手陣は直近の3試合でレイズに計34安打を浴び、計20点を奪われ、3連敗した。打者のベルト付近の球を長打にされる傾向にあった。外角低めの速球、ワンバウンドするぐらいのフォークやスライダー。大谷はプラン通りに低めに投じることを意識して集中力を切らさなかった。

 2点リードの6回2死。3番ウェンドルを迎えた場面では97マイル(約156キロ)の速球で2度内角を突いた。最後は、内角低めに食い込むスプリットで空振り三振。打者として出場した16日(同17日)のアストロズ戦で、防御率1位のバーランダーから三振を奪われた時と同じような配球だった。対戦経験が生きたのかと聞かれ「根本的にレベルが違いますし、次の試合ですぐできるようなことではないので、これから先のことかなと思います」と謙遜したが、経験を糧に着実に進歩している。

 順調なら次戦は中6日で27日(同28日)に敵地でのヤンキース戦に登板する。田中との投げ合いについては「その前に打席があるので、1日1日先を見ずにやっていければなと思います」とかわした。登板した7試合でチームは6勝1敗。浮かれずにやるべき仕事に徹する。その姿が頼もしい。【斎藤庸裕】