大谷チャプマンと直球勝負164キロ体感遊ゴロ

ヤンキース対エンゼルス 8回表エンゼルス2死二塁、遊ゴロに倒れる大谷。投手チャプマン(撮影・菅敏)

<ヤンキース2-1エンゼルス>◇25日(日本時間26日)◇ヤンキースタジアム

 エンゼルス大谷翔平投手(23)が、メジャーを代表する剛球左腕と名勝負を繰り広げた。ヤンキース戦に5番指名打者(DH)で出場。1点を追う8回2死一塁、異例の“回またぎ”で登板したヤ軍の守護神チャプマンと初対戦した。全5球が100マイル(約161キロ)前後の速球。5球目の101・9マイル(約164キロ)を打ち返して遊ゴロに終わったが、わずかにポールを切れた鋭い打球を放ち、体がのけ反るほど強振するなど力と力の真っ向勝負で観客を総立ちにした。

 珍しく体がのけ反るくらい強振した。1点を追う8回2死二塁、2ボールからの3球目。大谷は99・6マイル(約160キロ)の真ん中高めの直球をフルスイングした。「捉えたと思った」打球はファウル。4球目、ほぼ同じ高さの100・3マイル(約161キロ)は左方向への大きな飛球で再びファウル。カウント2-2となって4万6056人の観客が総立ちになった。5球目、101・9マイル(約164キロ)の直球を打って遊ゴロに倒れた。「あそこで1本打てないというところでは、力が足りない」と悔しがったが、ベンチに戻る際には笑みすら浮かべていた。

 対戦は予想していなかった。「正直あんまり(投手を)スイッチするというのは考えていなかったですし、自分に対してそのカードを切ってくるというのは考えていなかった」。4番プホルスが凡退してから投手交代が告げられたことに少し驚いた。「白い球を逃さないように、ストライクゾーンに来た球を前に飛ばして、何とか次の打者につなげたいと思っていた」。自らが投じるスピードを体感しながら、力と力の勝負に集中した。

 「野球選手なら1回はプレーしたいと思うのが普通」と憧れていたヤンキースタジアムで、第1打席からブーイングを浴びた。「正直、周りの声を聞くっていう、余裕はなかった」。4月27日の初対戦で内角球を右翼席に運んだ先発のエース、セベリーノには、外角低めに直球をズバズバと決められて完敗した。1四球を選び、他の2打席では凡退。「こうやって力のある投手とやれるというのは、個人的にはいい経験になっていく」と潔く受け止めた。

 3試合ぶりの無安打に終わり、チームは惜敗した。だが、セベリーノ、チャプマンとのメジャーならではの戦いの感慨に浸る時間は少ない。「明日、あさって、勝てるように頑張りたい」と力強く言い切った。【斎藤庸裕】